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不動産の譲渡所得税は、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変わります。短期譲渡所得の税率は39.63%、長期譲渡所得の税率は20.315%とその差は2倍近くあります。そのため、所有期間が5年を超えるまで売却を待った方が良いと考える人が多いです。
しかし、必ずしもそうとは限りません。不動産の価格は経年変化の影響も受けるため、売却の時期を遅らせると値下がりしてしまう可能性があるのです。また相場環境によって価格が下がるケースもあるでしょう。不動産売却で得られる譲渡所得にはマイホームであれば特例もあり、支払う税金を抑えられる制度があります。
本記事では、5年以内に不動産を売却する際の注意点や、より税金が抑えられて高値で売却する方法を解説します。また、特例を使って税金を抑える方法も併せて紹介します。
所有期間が5年以内の不動産の売却について悩んでいるなら、専門家がそろうJ.P.RETURNSへ相談してみてはいかがでしょうか。優秀なコンサルタントからの不動産投資の個別相談を承っています。不動産の売却時期に関するさまざまなアドバイスも受けられるので、気になる人はJ.P.RETURNSのホームページをのぞいてみてください。
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目次
不動産売却で得た利益を譲渡所得と呼びます。不動産を売ったときにかかる税金は売却価格にかかるのではなく、購入にかかった費用(取得費)や売却にかかった費用(譲渡費用)を、引いた譲渡所得に税率をかけて計算します。
譲渡所得の計算式は、以下の通りです。
譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用) |
譲渡所得を計算するための主な取得費と譲渡費用には、以下のものがあります。
▪︎譲渡所得を計算するための主な取得費と譲渡費用
取得費 | 建物の購入費用 |
土地の購入費用 | |
仲介手数料 | |
リフォーム代 | |
登録免許税・不動産取得税・印紙税などの取得にかかる税金(※) | |
譲渡費用 | 仲介手数料 |
印紙税(売主が負担したもの) |
※)事業用の不動産の取得にかかった税金は取得費に含められません
参考:国税庁|No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)
譲渡所得は所有期間によって「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分けられ、異なる税率が設定されています。短期譲渡所得は所有期間が5年以下で税率が39.63%、長期譲渡所得は5年超で税率が20.315%と大きく差があります。もし利益(譲渡所得)が2,000万円なら短期では、約793万円、長期では約406万円の税金です。
短期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日の時点で所有期間が5年を超えていないときに適用されます。内訳は所得税が30%、復興所得税が0.63%、住民税が9%です。
▪︎短期譲渡所得税の内訳
短期譲渡所得税 | 所得税 | 復興所得税 | 住民税 |
39.63% | 30% | 0.63% | 9% |
例えば、2019年4月1日に購入した不動産を5年1カ月後の2024年5月1日に売却した場合、2024年の1月1日時点では購入してから5年が経過していません。そのため、短期譲渡所得が適用されます。2019年4月1日に購入した不動産は2025年1月1日以降の売却で、長期譲渡所得の税率が適用されるのです。
5年以内の譲渡にかかる税率が高い理由には、不動産の転売による価格の高騰を防ぐ狙いがあります。転売目的で不動産を購入し、価格が高騰したタイミングで売り抜けて利益を得ようとする行為には、一定の歯止めをかける必要があります。投機目的の売買は比較的短期間で繰り返し行われるため、所有期間を5年超で区切り、税率を高く設定しているのです。
長期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日の時点で所有期間が5年を超えているときに適用されます。税率の内訳は、所得税が15%、復興所得税が0.315%、住民税が5%です。
▪︎長期譲渡所得税の内訳
長期譲渡所得税 | 所得税 | 復興所得税 | 住民税 |
20.315% | 15% | 0.315% | 5% |
自分が住むための不動産は、長期間所有するケースが多いです。投機を目的にしない居住用不動産の売買に、高い税金がかからないように配慮されています。
譲渡所得税は売却価格から取得費や譲渡費用を引いた譲渡所得に、税率をかけて計算します。譲渡所得税の計算の流れを具体的な例とともに紹介し、注意点を解説します。
譲渡所得税の計算は複雑な部分もあるものの、手順を理解すれば自分でも計算が可能です。不動産の売却を検討する際に、手残りにも影響するため譲渡所得税がいくらかかるのかの把握は重要です。
譲渡所得税は売却価格から取得費と譲渡費用を引いて算出した譲渡所得に税率をかけて計算します。
譲渡所得税の計算の流れ
1. 譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用) 2. 譲渡所得税=譲渡所得×税率 |
上記の譲渡所得税の大まかな計算の流れに加え、計算に必要な取得費や譲渡費用も理解しておく必要があります。
取得費とは?
取得費とは、売却する不動産の購入代金と購入するためにかかった経費を合算したものです。
取得費には、以下のものがあります。
・不動産の購入代金
・印紙税
・不動産取得税
・登録免許税
・購入時の仲介手数料
・リフォーム代
不動産の売却では、購入にかかったコストを調べる必要があります。売買契約書や納税証明書、ローン契約書を参考にして金額を確かめてください。相続で取得した不動産などで購入費用が不明なものは、売却価格の5%を取得費として計算します。
なお、収益用物件などの事業用として購入した不動産は、取得費に印紙税、不動産取得税、登録免許税を含められません。
不動産の建物部分の価値は、時間が経過するとともに減少します。価値が減少した分は所有者が消費したものとみなし、取得費に算入できません。取得費は経費としての性質があるため、消費した分を除いて建物部分の購入代金を計算する仕組みになっています。
取得費に含まれる購入代金は減価償却費によって計算します。
減価償却費は、以下の計算式で表します。
減価償却費=購入代金×0.9×償却率×経過年数 |
償却率は建物の構造や使用目的によって定められています。
▪︎使用目的別・構造別償却率一覧
建物の構造 | 事業用 | 非事業用(※) | |||
耐用年数 | 償却率 | 耐用年数 | 償却率 | ||
木造 | 22年 | 0.046 | 33年 | 0.031 | |
木造モルタル | 20年 | 0.050 | 30年 | 0.034 | |
鉄骨造 | 3mm以下 | 19年 | 0.053 | 28年 | 0.036 |
3mm超4mm以下 | 27年 | 0.038 | 40年 | 0.025 | |
4mm超 | 34年 | 0.030 | 51年 | 0.020 | |
鉄筋コンクリート造 | 47年 | 0.022 | 70年 | 0.015 | |
鉄骨鉄筋コンクリート | 47年 | 0.022 | 70年 | 0.015 |
(※)非事業用の償却率は、事業用の耐用年数の1.5倍で算出した値が用いられます。
参考:国税庁 減価償却資産の償却率表
参考:国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表
減価償却費を計算する際は、上記の償却率をもとに算出します。
譲渡費用とは土地や建物を売却するためにかかった支出です。以下のものが譲渡費用に該当します。
・仲介手数料
・売買契約時の印紙税
・売却のためにかかった宣伝広告費
譲渡費用に含まれるのは、売却するために直接かかった費用です。修繕費や固定資産税などの維持管理の費用は除外されます。
譲渡所得税を以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
条件は以下のように設定します。
用途 | 収益用物件 |
構造 | 鉄筋コンクリート造のマンション |
償却率 | 0.022 |
売却価格 | 5,000万円 |
購入価格 | 4,000万円(土地1,800万円・建物2,200万円) |
譲渡費用 | 160万円 |
購入にかかった費用 | 200万円 |
所有期間 | 4年 |
譲渡所得税の計算には、購入価格から建物の減価償却費分を差し引く必要があります。
建物の減価償却費の計算は、以下の通りです。
174万円(減価償却費)=2,200万円(建物の購入価格)×0.9×0.022(償却率)×4年(所有期間) |
取得費に含める建物の購入費用は、以下のように計算します。
2,026万円(取得費に含める建物の購入代金)=2,200万円(建物の購入価格)−174万円(減価償却費) |
建物と土地の価格と購入にかかった費用を合算して、取得費を計算します。
4,026万円(取得費)=2,026万円(取得費に含める建物の購入価格)+1,800万円(土地の購入価格)+200万円(購入にかかった費用) |
売却価格から取得費と譲渡費用を引いて譲渡所得を算出します。
814万円(譲渡所得)=5,000万円(売却価格)−4,026万円(取得費)−160万円(譲渡費用) |
譲渡所得税は譲渡所得に税率をかけて計算します。
所有期間が4年のケースでは、短期譲渡所得の税率39.63%が適用されます。
323万円(譲渡所得税)=814万円(譲渡所得)×39.63%(税率) |
以上の流れで譲渡所得税を計算します。
譲渡所得には税優遇される制度があります。ただし、以下の特例は全て自己居住用とし利用しなければならず、投資用物件では適用されない点に注意してください。
譲渡所得の優遇税制には、以下のものが挙げられます。
・3,000万円の特別控除
・10年超所有軽減税率
・マイホーム買い替えの特例
それぞれ詳しく解説します。
3,000万円の特別控除はマイホームを売却したときに、譲渡所得から最高3,000万円の控除が受けられる制度です。この特例は所有期間に関係なく適用されます。マイホームは個人にとって重要な財産であるため、売却したときに譲渡所得税が軽減される制度が設けられています。保有している物件が高騰しても3,000万円以上の譲渡所得が発生するのは滅多にありません。そのため、大半のケースでは実質的には税金がかからないでしょう。
3,000万円の特別控除を受けるには、以下に挙げる6つの条件を満たしている必要があります。
1. 下記のいずれかを満たすマイホームである ・現在、居住している ・転居している場合、転居後3年目の12月31日までに売却している ・住んでいた家屋を取り壊した場合は、譲渡契約が1年以内に締結され、3年を経過する年の12月31日までに売却している ・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結するまでに、駐車場などの賃貸がされていない 2.売却した年の前年、前々年に、3,000万円の特別控除、マイホームの譲渡損失が出た場合の損益通算、損失の繰越控除の特例を受けていない 3.売却した年とその前年、前々年にマイホームの買い替えの特例やマイホームの交換の特例を受けていない 4.売却した年に固定資産の交換特例や収用等特別控除など、他の特例を受けていない 5.災害によって売却する際は、住まなくなった日から3年後の12月31日までに譲渡契約している 6.買い手が親や子、夫婦などの特別な関係ではない |
ただし、3,000万円の特別控除はマイホームのための制度で、投資用不動産は適用の対象外なので、注意してください。
10年超所有軽減税率は、マイホームとして10年以上所有していた自宅や土地を売却したときに、税率が低くなる制度です。10年超所有軽減税率は譲渡所得が6,000万円までの部分が、税率が14.21%に低減されます。
さらに、この特例と3,000万円の特別控除は併用可能です。
10年超所有軽減税率の適用を受けるには、以下の5つの条件を満たす必要があります。
1. 日本国内にあるマイホームであり、以前住んでいた場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属している年の12月31日までに売却している
2. 売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている 3. 売却した年の前年と前々年に同じ特例を受けていない 4. 売却した家屋や敷地が3,000万円の特別控除以外の特例制度を受けていない(3,000万円の特別控除と10年超所有軽減税率は併用して受けられる) 5. 買い手が親や子、夫婦などの特別な関係ではない |
参照:国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
極端な例ですが、例えば、譲渡所得が1億2000万円で所有期間が10年超の譲渡所得税は、以下のように計算します。
譲渡所得から3,000万円の特別控除を適用します。
9,000万円(3,000万円を控除した譲渡所得)=1億2,000万円(譲渡所得)−3,000万円(3,000万円の特別控除) |
6,000万円までの譲渡所得に、10年超所有軽減税率を適用します。
853万円(6,000万円までの譲渡所得税)=6,000万円(譲渡所得)×14.21%(10年超所有軽減税率) |
6,000万円を超えた部分は、長期譲渡所得の税率で計算します。
610万円(6,000万円を超えた部分の譲渡所得税)=3,000万円(6,000万円を超えた部分の譲渡所得)×20.315%(長期譲渡所得の税率) |
それぞれの税率で計算した譲渡所得税を合計します。
1,463万円(譲渡所得税)=853万円(6,000万円までの譲渡所得税)+610万円(6,000万円を超えた部分の譲渡所得税) |
10年超所有軽減税率はマイホームに適用される特例であるため、他の特例と同様、投資用物件には適用されません。
マイホーム買い替えの特例は名称からも分かる通り、住み替えの際に適用が受けられます。売却した物件に課税される譲渡所得の課税が、新居の売却まで繰り延べできる制度です。この特例は譲渡所得税が減免される制度ではなく、新しいマイホームをのちに売却するまで課税を持ち越す制度です。
この制度の適用を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
1. 自分が住んでいた家屋、または、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却している 2. 売却した年、前年、前々年に3,000万円の特別控除、軽減税率の特別控除、マイホームの譲渡損失についての損益通算、繰越控除の特例を受けていない。 3. 売却したマイホームと新しく買い替えたマイホームがともに日本国内にある 4. 売却代金が1億円以下である 5. 売却したマイホームの所有期間が10年以上である 6. 買い替える建物の床面積が50㎡以上で、敷地面積が500㎡以下である 7. マイホームを売却した前年から翌年までの3年間に新居を購入している 8. 買い替えるマイホームが建築後使用されたことのない住宅であり、令和6年1月1日以後の入居であるときは、特定居住用家屋に該当していないもの 9. 買い替えるマイホームが耐火建築物の中古住宅である場合は、取得の日から25年以内に建築されたもの、または耐火基準を満たしているもの 10. 買い替えるマイホームが耐火建築物以外の中古住宅である場合は、取得の日から25年以内に建築されたもの、または耐火基準を満たしているもの 11. 買い手が親や子、夫婦などの特別な関係ではない |
参照:国税庁 No.3355特定のマイホームを買い替えたときの特例
例えば、2,000万円で購入したマイホームを6,000万円で売却し、8,000万円のマイホームに住み替えるときに、マイホーム買い替えの特別控除を利用したケースで考えてみましょう。その後、新居を1億円で売却した場合をシミュレーションします。それぞれの価格は取得費や譲渡費用も含めたものとします。
マイホーム買い替えの特例で繰り延べされる譲渡所得は、以下の通りです。
4,000万円(繰り延べされる譲渡所得)=6,000万円(住んでいたマイホームの売却価格)−2,000万円(住んでいたマイホームの購入価格) |
このとき、4,000万円の譲渡所得にかかる税金は新しく購入した物件を売却するときまで繰り延べされます。
その後、8,000万円で購入した新居を1億円で売却した場合は、この取引で生じた譲渡所得に繰り延べされていた譲渡所得が加算されて課税されます。
6,000万円(今回の取引で生じた譲渡所得と繰り延べされた譲渡所得の合計)=1億円(新居の売却価格)−8,000万円(新居の購入価格)+4,000万円(繰り延べされた譲渡所得) |
マイホーム買い替えの特例は、譲渡所得税の課税を先延ばしにして、住み替えの費用負担を軽くするための制度です。この制度を適用すると3,000万円の特別控除が受けられないので、どちらのメリットが高いか検討して選択しなければいけません。また、不動産投資用の物件は、マイホーム買い替えの特例の対象外なので注意しましょう。
不動産を売却したときに受けられる税制優遇は、適用要件や併用の可否など複雑で分かりにくい制度です。不動産投資で税制のメリットを享受するには、税金について事前に学んでおかなければいけません。そこで活用してほしいのが、J.P.RETURNSの無料書籍スマホで学ぶeBookと無料動画セミナーです。不動産投資の基礎がコンパクトにまとめられた教材で、ちょっとしたスキマ時間で学習が可能です。不動産投資で資産構築を目指すなら、知識の習得から始めるのがおすすめです。
不動産の所有期間が5年を超えると長期譲渡所得が適用され、税率が下がります。しかし、5年以内の売却にも多くのメリットがあります。
所有期間が5年以内に売却するメリットには、以下のものがあります。
・築浅のために価値が高く評価される傾向にある
・大きく上昇しているなら不動産相場の高値圏で売却できる可能性がある
・住んでいるなら特例と併用して税金を抑えられる
それぞれ詳しく解説します。
不動産の売却価格は立地などの環境要因も大事であるものの、築年数にも左右されます。築浅の物件は人気があり、高値での売却が期待できます。
特に5年以内の築浅マンションは設備の故障や室内の劣化などが少なく、リフォームや補修が必要ないため、高値で買い手が付きやすいです。
また、一戸建ては築年数の影響が顕著で、築10年に達する頃には売却しても新築時の半分程度まで価格が下落するケースもあります。一戸建ても築5年以内だと価格の下落は比較的少なく、高値での売却が可能です。
2023年の中古マンション市場は、首都圏、中部圏、関西圏の三大都市で上昇を続けています。しかし、価格上昇の幅は狭まっており、地域によっては相場が天井付近に近づいているという予測もあります。
2023年・年間平均中古マンション価格 首都圏では+1.8%まで上昇鈍化、年後半には下落の動きも近畿圏や中部圏でも上昇率は縮小、急激な価格高騰を受けて天井感が強まる 参照:東京カンテイ プレスリリース/中古マンション価格(年間版)2024年1月24日 |
マンションの売却を考えているなら、2024年はチャンスを迎えているかもしれません。断定はできませんが、マンション価格は上昇を続けており、不動産相場の高値圏で売却できる可能性もあります。将来的にどうなるかは不透明であるものの、税金を気にして長期譲渡所得になるのを待っている間に、不動産価格が下落するかもしれません。
3,000万円の特別控除は所有期間に関係なくマイホームの売却益に適用されます。所有期間が5年以内でも、自宅として住んでいる物件の売却なら、3,000万円の特別控除で譲渡所得税を抑えられます。
もし、マイホームの譲渡所得が3,000万円以下なら、控除により課税される金額は0円です。3,000万円の範囲内であれば、所有期間が5年以内の売却であっても、短期譲渡所得の税率は関係ありません。大がかりの再開発が近隣であるなど、大きく資産価値が上がらない限り、譲渡所得は特別控除の3,000万円以内に収まるでしょう。
不動産を高値で売却するためにはタイミングが重要です。不動産の売り時を判断するには、相場の動向や築年数の経過、所有期間による税率の違いなどさまざまな要素があります。
以下に挙げるのは、売却のタイミングを見極める際に、注意すべきポイントです。
・税金のために売却を後回しにするのが得策でない場合もある
・不動産市場の状況がいい時期に売却する
・焦って売却しない
それぞれ詳しく解説します。
先述した通り、譲渡所得税は所有期間によってかかる税率が変化します。特に、所有期間が5年以下と5年超の短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率は約2倍の差があります。
しかし、税金のために好機に売却を見送るのは、得策でない場合もあるのです。不動産は築年数に応じて資産価値が下落する傾向にあるので、売却のタイミングが早いほど高値で売れる可能性があります。特にマイホームを売却する際には、3,000万円の特別控除が使えるため、税率を意識する必要がないケースも多いでしょう。 高値で多額の譲渡所得が発生していても、その相場がいつまで続くか分からない点も認識してください。
不動産市場の状況がいい時期は、高値で売却できる可能性が高まります。
2012年に起きた政権交代による安倍政権の誕生から、アベノミクスや日銀による金融緩和などで、金利は下がり不動産の購入者にとって有利な状況が続いています。低金利は不動産市場にとって歓迎される状況です。
近年に入ると住宅ローンの固定金利はわずかに上昇しましたが、住宅価格を下げるほどの影響はありませんでした。
2024年も大方の予測では大幅な金利上昇の見込みは少なく、不動産市場にとって悪くない状況が続くかもしれません。いつまで現在の状況が継続するかは分からないため、売却するには悪くないタイミングともいえるでしょう。
不動産は安値で手放さないためにも焦って売却手続きをしてはいけません。不動産の売却は、時間と気持ちに余裕を持って行うことが重要です。売り急いでいるのが購入希望者に伝わってしまうと足元を見られ、強気な価格交渉を挑まれてしまいます。また、焦って売却しようとすると、冷静な判断ができなくなってしまう恐れもあります。
心にゆとりを持って買い手と対峙し、交渉の主導権を渡さずに話を進めていけば、安値売却を防げるでしょう。
不動産は購入してから早く売るほど、築年数の経過が少ないため高値で売却できる可能性が高まります。しかし、5年以内の売却は、所有期間の短さから購入希望者に不審に思われてしまうケースもあります。所有期間が5年以内の不動産を高値で売却するには、注意しなければいけない点があるのです。
所有期間が5年以内の不動産を高く売る方法には、以下のものがあります。
・資産価値の高い物件を売却する
・手放すと決めたならできる限り早く売却手続きに入る
・売却理由で嘘をつかない
それぞれ詳しく解説します。
東京23区などの大都市にある新築から5年以内のマンションは、資産価値が高いため中古で売り出しても高値で売却できる可能性があります。人気のエリアに立地している物件は、需要が高く資産価値があまり下落せず、むしろ購入価格よりも高くなるケースもあります。また、周辺に商業施設があるといった暮らしやすさや、駅から徒歩10分圏内にある利便性の高さも高値で売却するための重要な要素です。
立地が良く利便性の高い物件は、築浅で高く評価されるうちに売却するのも1つの方法です。
所有期間が5年以内の不動産の売却には、売主のさまざまな事情があります。その中には、できれば売りたくないが、売却せざるを得ない状況になった人もいるでしょう。
しかし、売却を決めたなら、できる限り早く売却手続きを行うのが賢明です。不動産は一般的には時間の経過とともに価値が下がってしまうため、高値での売却には早く行動を始めることが重要です。
ただし、焦って売却をすると安値取引になるなど、かえって逆効果を生む可能性もあるので、無理のない範囲で早く売却する手続きを行いましょう。
不動産の売買には高額な資金が動くため、買主は慎重に購入を検討したいと思っています売主がなぜ物件を売却するのかの理由も、買主にとっては重要な判断材料です。売却の理由によっては、購入を取りやめるなどの判断に至る可能性もあります。
しかし、買主には売却理由で嘘をついてはいけません。物件を売らなければいけなくなった理由には、住み替えや離婚による財産分与、住宅ローンの滞納による任意売却などさまざまです。売主は売却理由を偽りなく伝えることで、買主は不信感を抱かずに購入の検討ができます。
また、売却理由が社会通念上、購入価格や売買契約の判断に影響を与えるような事柄を伝えなかった場合は、告知義務違反に問われるケースもあります。
告知義務違反になり得る具体的な内容は、以下の通りです。
・自殺・他殺・事故死・孤独死などがあった
・迷惑施設がある
・近隣に指定暴力団の構成員が居住している
・騒音・振動・異臭などがある
・廃棄物処理施設がある
売却の理由を正直に伝えるのは、瑕疵担保責任を問われないためにも重要です。
譲渡所得税の税率は所有期間によって異なります。売却する年の1月1日時点で5年以内の短期譲渡所得の税率は39.63%、5年超の長期譲渡所得の税率は20.315%です。
譲渡所得税は投機目的の売買を抑制するために、短期間の所有での売却の譲渡所得に高い税率を課しています。
不動産をお得に売却する方法はいくつかあります。
・不動産会社が無料で行っている査定サービスを利用する
・売り出し価格は値引きを想定して高く付ける
・売りやすいシーズンに売却する
〈不動産会社が無料で行っている査定サービスを利用する〉
不動産を売却するには物件の価格相場を知らなくてはいけません。不動産会社は仲介契約の獲得を目指して、無料で査定サービスを行っています。
売主は無料で多くの会社の査定を受けられ、提示された結果は、売り出し価格を決める際の判断材料として使えます。
〈売り出し価格は値引きを想定して高く付ける〉
不動産の売買では、購入希望者から値下げ交渉を挑まれることがあります。売り出し価格はそれを想定して、相場より少し高めに付けるのがより高値売却のポイントです。
〈売りやすいシーズンに売却する〉
新年度や新学期など年度の変わり目に引越しを検討する人が多いため、その少し前の1〜3月が不動産を最も売却しやすい時期といわれています。需要の高い月に売り出せば、高値で売却できる可能性が高まります。
売却で損した場合は、譲渡所得税はかかりません。しかし、売却手続きに必要な税金はかかります。
以下に挙げるのは、売却で損を出しても手続きにかかる税金です。
・印紙税
・登録免許税
〈印紙税〉
不動産売買契約書には取引額に応じた印紙税がかかります。
〈登録免許税〉
不動産を売却して登録を変更する際にかかる税金です。
不動産の売却で得られた譲渡所得は、所有期間が5年であるかを境に税率が大きく変わります。そのため、時期を遅らせて、税率が低くなるタイミングで売却を試みる人も多くいます。
しかし、不動産の価格は経年や相場の影響を受けるため、必ずしも所有期間が5年超での売却が最良の選択とは限りません。また、売却する不動産がマイホームなら、3,000万円の特別控除などの特例で、所有期間が短くても譲渡所得税を低く抑えられる可能性があります。売却の時期は、さまざまな要因を総合的に判断する必要があるでしょう。
もし、不動産をいつ売却するのが良いのか悩んでいるなら、専門家がそろうJ.P.RETURNSへ相談してみるのもおすすめです。J.P.RETURNSは優秀なコンサルタントが不動産投資に関する個別相談を承っています。不動産投資に関するさまざまなアドバイスが受けられるので、気になる人はJ.P.RETURNSのホームページをのぞいてみてください。
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J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
ファイナンシャルプランナー。ディベロッパーとして再開発に従事したことがきっかけで不動産に興味を持つ。個人では、不動産を軸に据えながら株式や暗号資産にも幅広く投資。
自分自身の投資体験をもとにかみ砕いて分かりやすく説明することを得意とする。大手メディアで金融や不動産ジャンルに特化して執筆を行い、携わった記事は300記事を超える。
【保有資格】
2級ファイナンシャル・プランニング技能士