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マンション投資を始めるには自己資金が必要です。ローンを利用する場合でも、頭金と諸費用にあたる金額を準備しなければなりません。
本記事では自己資金の内容や金額の目安を説明するとともに、購入できるマンションを金額別に紹介します。資産形成などでマンション投資を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
マンション投資をする際は、自己資金をどのくらい用意するのか迷う方も多いかと思います。できるだけ負担を少なくして投資を開始したいとと思っても、自己資金が少なすぎるとローンの負担が大きくなる可能性があるでしょう。
ここでは、そもそも自己資金とは何か説明し、必要になる自己資金の内訳と金額の目安を紹介します。
自己資金とは手元にあるお金のことで、何かを始めるに際して自分が用意する資金のことです。自己資金が少ない、もしくはすべてローンでまかなうのはリスクがあり、ローンの審査に通らない可能性があります。ローンの金利も上がるでしょう。
そのため、購入価格の数%にあたる金額を自己資金として用意するのが一般的です。
不動産投資の場合、自己資金は以下のような頭金と諸費用の合計にあてられます。
頭金とは、ローンの借入額を除き自分で現金で用意するお金のことです。マンションの購入代金のうち、手持ちの現金や預金などで用意します。 頭金を支払った分だけローンの借入額は少なくなります。
頭金と似た費用に手付金がありますが、手付金は「契約成立を証明するお金」であり、売買契約を結ぶ当日に現金で支払うのが一般的です。これに対し、頭金は購入代金の一部であり、契約から引き渡しまでの間に支払います。
マンションの購入では物件の価格のほかに以下のような諸費用がかかり、自己資金があてられます。
不動産会社への仲介手数料
印紙税 不動産取得税 登録免許税 各種保険料 司法書士報酬 事務手数料 |
仲介手数料は投資物件を購入する際、取引を仲介した不動産会社に支払う費用です。金額は各会社により異なりますが、法律で上限が定められています。
契約を交わす際に必要な印紙税や、不動産の購入で課せられる不動産取得税や登録免許税など、各種税金も支払わなければなりません。
また、購入したマンションの所有権を移転するには、登記手続きが必要です。専門家である司法書士に依頼することで報酬が発生します。
さらに、ローンを契約する際には金融機関への事務手数料も必要です。
諸費用の金額は新築・中古などでも異なりますが、およそ購入価格の3〜10%です。
頭金とともに、自己資金として用意しなければなりません。
一般的な自己資金の目安は、マンション購入価格の1〜3割程度です。このうち頭金の目安は物件の担保価値や融資を受ける人の属性により異なりますが、物件価格の10〜20%程度であれば審査に通りやすいでしょう。
諸費用は、新築物件の場合で物件価格の3~7%、中古物件で物件価格の7~10%が目安です。
例えば3,000万円のマンションを購入したい場合、300万〜900万円の自己資金が必要になります。また、支払える自己資金の金額から逆算すれば、どのくらいの金額のマンションを購入できるかの目安がわかります。
自己資金として支出できる金額は、人により異なります。欲しい物件を見つけても、自己資金を用意できなければ購入できません。目安を1〜3割と考えた場合、どのようなマンションを購入できるか、金額別にみていきましょう。
ここでは100万円・500万円・1,000万円の3パターンを紹介しますので、投資マンションを探す際の参考にしてください。
自己資金が100万円の場合、頭金20%・諸費用7%として考えると、購入できる物件価格は以下のとおりです。
100万円÷(20%+7%)=約370万円 |
頭金・諸費用を抑えてそれぞれ10%・3%にした場合、以下の金額になります。
100万円÷(10%+3%)=約770万円 |
購入価格の目安は、400万〜800万円程度になるでしょう。都心では難しいものの、郊外の中古区分マンションであれば購入できる物件もあります。ワンルームであれば、新築でも購入可能です。
マンションは必ずしも新築が良いというわけではなく、新築・中古それぞれにメリット・デメリットがあります。
新築マンションはローンの審査に通りやすく、空室が埋まりやすいのがメリットです。家賃も高く設定できるでしょう。修繕費やメンテナンス費が当面かからないのも利点です。しかし、中古と比べて物件価格が高く、利回りは低くなります。購入直後に資産価値が下がるというデメリットもあります。
一方、中古マンションは利回りが高く、入居実績があるため賃貸経営のシミュレーションをしやすいのがメリットです。ただし、状態によっては修繕費やメンテナンス費が必要になる場合が多く、コストが高くなる可能性があります。
それぞれのメリット・デメリットを把握し、長期的な視野で選ぶとよいでしょう。
自己資金を500万円用意できる場合、頭金20%・諸費用7%で購入できる物件価格は、以下のとおりです。
500万円÷(20%+7%)=約1,850万円 |
頭金・諸費用を10%・3%にした場合、以下の金額になります。
500万円÷(10%+3%)=約3,850万円 |
購入できるマンションの目安は、1,850万円〜3,850万円程度になります。区分マンションであれば選択肢が広がり、都心の立地条件の良い場所の物件から選ぶこともできます。新築・築浅のワンルームマンションや、郊外・地方ではファミリー物件を探すことも可能です。
また、区分マンションよりも収益性の高い格安の一棟アパートを購入することもできます。
担保価値の高い物件や年収など属性によっては、さらに高額の価格帯を購入できるかもしれません。
自己資金が1,000万円の場合、頭金20%・諸費用7%で購入できる物件価格は以下のとおりです。
1,000万円÷(20%+7%)=約3,700万円 |
頭金・諸費用をそれぞれ10%・3%にする場合は、以下の金額です。
1,000万円÷(10%+3%)=約7,700万円 |
購入できるマンションは。3,700万〜7,700万円と高額になります。中古・新築の区分マンションのほか、中古・新築の一棟アパ―トや、中古の一棟マンションなど選択肢は広がるでしょう。
区分マンションには空室で収入がゼロになるリスクがありますが、部屋が複数ある一棟マンション・アパートであればリスクを抑えられます。また、土地があるため資産価値がゼロになりません。土地を所有していることで、将来の売却も幅広い方法から選べます。
ただし、区分マンションよりも修繕費や税金などの固定コストが多くかかるため、しっかり返済計画を立てることが必要です。
自己資金に対して購入可能な物件を紹介しましたが、高い物件を購入したい場合もあるでしょう。自己資金を増やすことが難しい場合、頭金や諸費用を抑えて希望の物件を購入する方法もあります。
ただし、頭金を抑える場合は審査が厳しくなり、ローンの負担も大きくなることは把握しておきましょう。
ここでは、自己資金を抑える方法を紹介します。
自己資金を減らしやすいのが、頭金を抑えることです。ただし、頭金を抑えるとそれだけローンの負担が高くなり、融資審査に通りにくくなります。利子を上乗せしても毎月完済できるか考えながら、頭金の減額を考えましょう。
頭金を含む初期費用すべてをローンに含める契約もあります。自己資金を用意せず、マンション投資を始めることが可能です。しかし、審査基準はより厳しくなり、上乗せされる金利も高額になるため慎重に検討することが必要です。
自己資金を減らすため、諸費用を抑える方法もあります。諸費用には税金など減額できないものもありますが、減額できるものもあります。主に抑えられるのは、不動産会社の仲介手数料と司法書士に支払う報酬です。
仲介手数料とは、売主との売買契約を成立させた仲介の報酬として不動産会社に支払う費用です。法律で上限が以下のように定められています。
200万円以下の部分:売買価格×5.5%
201万円〜400万円までの部分:売買価格×4.4% 401万円を超えた部分:売買価格×3.3% |
ただし、不動産会社が自社の物件を販売している場合は売主から直接購入することになるため、仲介手数料が発生しません。仲介手数料が無料になるだけでも、数十万〜数百万円の節約が可能です。
司法書士には、マンションの所有権を移転するため以下の登記を依頼します。
土地の所有権移転登記
建物の所有権移転登記(新築の場合は所有権保存登記) 抵当権設定登記(ローン契約で設定) |
司法書士に支払う報酬には金額に上限が設けられておらず、依頼先によって金額が変わります。相場は数万~5万円程度で、物件によってはさらに高くなる場合もあります。安く抑えるには複数の見積もりを取り、比較検討するとよいでしょう。
登記手続きは自分で行うこともでき、実費は1万〜2万円程度です。しかし、書類を集めたり法務局で手続きしたりなど、時間がかかることは認識しておきましょう。
自己資金を抑えることでマンション投資を手軽に始められ、早く収益をあげられるのがメリットです。自己資金が低いほど投資効率が高いというメリットもあります。
ここでは、自己資金を抑えることのメリット・デメリットを紹介します。
自己資金を抑えることで、手持ちの現金ですぐにマンション投資を始められるのがメリットです。株など他の投資方法は投資のためにある程度の資金が必要で、多ければ多いほど投資効果は高くなります。
しかし、マンション投資は少ない金額の投資でも収入につながりやすいのがメリットです。自己資金ゼロ、あるいは少額から始めることも可能で、上手に運用すれば毎月安定した収入を得られます。ローン返済後は購入したマンションを資産にできるのも、大きなメリットといえるでしょう。
自己資金が少なくローンの比率が高いほど、投資効率も高くなるというメリットもあります。
投資効率は、「ROI」という指標で確認できます。ROIは「Return On Investment」の略で、最初に投入した自己資金を何年間で回収できるかがわかる指標です。
ROIを求める計算式は、以下のとおりです。
ROI(%)=利益金額÷投資金額×100 |
マンション投資に限定すると、利益金額は年間キャッシュフローで、投資金額は自己資金で求めることができます。計算式は以下のとおりです。
年間キャッシュフロー÷自己資金×100 |
年間キャッシュフローは、年間の家賃収入からローン返済額や管理費・修繕積立金、税金など、マンション経営のためにかかる費用を差し引いた金額です。
ROIが高いほど短い期間で自己資金を回収でき、回収した資金で物件を増やすなど再投資が可能です。ROIが100%なら1年間で自己資金を100%回収できることになり、50%なら2年間、10%なら10年間で自己資金を回収できることになります。
例えば、年間キャッシュフローが100万円で自己資金が500万円の場合、投資効率は100万円÷500万円×100=20%となり、5年で回収できるということです。
この自己資金を抑えて400万円にした場合、100万円÷400万円×100=25%と投資効率が高くなり、自己資金は4年で回収できることになります。
自己資金を抑えた場合、デメリットな側面があることも把握しておかなければなりません。自己資金(頭金)が少ない、もしくはゼロにした場合、借入金額が増えて毎月の返済額が大きくなります。
マンション投資では必ず家賃収入が得られるとは限らず、空室のリスクもあります。収入がなくても毎月返済できるよう、しっかり計画を立てなければなりません。
借入金額が増えれば返済期間も長くなります。自分の資産になるまで時間がかかり、物件を売却したくてもできないなど、出口戦略に制約を受けてしまうでしょう。
自己資金が少ない場合でも、マンション投資をすることは可能です。借入金額が高くなるため審査が厳しくなりますが、物件の担保価値や融資を受ける人の属性が高い場合には通過する可能性もあるでしょう。自己資金ゼロで投資用マンションを購入できるローンもあります。
ここでは、自己資金が少ない、もしくはゼロでもマンション投資できる場合についてみていきましょう。
自己資金を抑えたローン契約にフルローンとオーバーローンがあります。フルローンとは頭金なしで購入代金を全額ローンにする契約であり、諸費用の支出は必要です。
一方、オーバーローンとは、諸費用も合わせてローンにすることです。まったく自己資金を用意せずにマンション投資を開始できます。
フルローンもオーバーローンも、少ない自己資金で大きな金額を動かすレバレッジ効果が期待できます。また、先述した投資効率も最大限にすることができるでしょう。
手元に現金を残しておくことで、修繕費など投資マンションにかかる予想外の出費に備えることもできます。修繕等に素早く対応できるかどうかで、入居率に大きな影響を与えることもあるでしょう。
ただし、どちらのローンも借入金額が大きくなり、毎月の返済額が負担になります。金利が上昇した場合の影響も大きくなるでしょう。
また、オーバーローンでは売却時に制約があります。マンションを売却する必要が出たときには、ローン残高以上の金額で売却しなければなりません。
オーバーローンは、「マンションの購入代金+諸費用」を借り入れているため、マンション購入時の金額で売却すると、諸費用分の金額を清算できないためです。手元にある資金をあてて不足分を返済するという方法もありますが、資金を用意できない場合は金融機関に売却を認めてもらえないでしょう。
自己資金ゼロの場合、ローンの審査は厳しくなります。融資を受ける人の個人属性が高い、もしくは購入物件の担保価値が高いなどの条件がなければ、審査に通過するのは難しくなるでしょう。
まず、マンション投資の融資を受ける際、購入するマンションをそのまま担保にする場合はマンションの資産価値によって審査基準は変わります。資産価値が高い物件であれば、自己資金ゼロでも審査に通る可能性はあるでしょう。
資産価値が高い物件といえるには、主に以下のような条件が必要です。
収益性が高く、安定的な家賃収入を得られる見込みがある
返済が滞った場合、ローンを回収できる程度に売却価値がある |
例えば、駅から近いなど立地条件が良く、人気のエリアにある物件などが該当します。
資産価値だけでなく、融資を受ける人の属性でも審査の状況は変わります。個人属性が高いと判断されやすいのは、主に以下のような人です。
基準以上の年収を得ている
医師や弁護士など、平均年収が高い職業である 大手企業に長く勤めるなど、安定性が認められる 役職についているなど社内での地位が高い 自営業者の場合は安定して高い収益を得ている |
一般的なローンの審査よりも厳しくなるという点は、理解しておきましょう。
ここでは、自己資金の調達方法についてみていきましょう。
自己資金が少ない人には、以下のような特徴があります。
毎月の収支を把握していない
収入が高いためについお金を使いすぎる 趣味にお金をかけている 買い物に予算を決めていない 貯金は残ったお金でしようと考えている |
このような状態では、いつまでも自己資金は貯まりません。確実に資金を貯めるには、定額貯金や勤務先の財形貯蓄制度など、強制的に貯金できる方法で毎月貯金することが必要です。
毎月決まった日に給与の振込口座から自動的に引き落とされるようになるため、自分で手続きすることなく貯蓄できます。自由に引き出すことができない状態にすることがポイントです。
自己資金を貯めるには、まず家計の収支(収入と支出)を把握することから始めましょう。お金が貯まらないのは、毎月の収入額はわかっていても、普段どれだけお金を使っているか把握できていない可能性があります。
収支を把握できていれば、無駄な支出を見つけて節約することが可能です。現在の家計の収支をリストアップし、支出で節約できそうな項目を見つけましょう。
特に毎月支払う固定費を見直すことで、節約効果が高くなります。スマホの通信費が高い場合には、格安SIMなど安い業者に乗り換えるのもひとつの方法です。水道光熱費が多い場合は、電気・ガスの使用状況を見直しましょう。
保険料が高いと感じたら、契約内容を見直してみます。個人年金や養老保険など、満期保険金ある貯蓄型保険に加入するのもおすすめです。毎月の保険料で貯蓄ができ、万が一への備えと自己資金づくりを兼ねることができます。
また、あまり通わないジムなど、利用していないのに会費だけ支払っているものがあれば退会を検討しましょう。
マンション投資を始める前に、迷うのが自己資金です。自己資金の目安は購入価格の1〜3割程度で、手持ちの資金でいくらぐらいのマンションを購入できるのか確認しましょう。希望するマンションを購入するには自己資金が足りないという場合、必要になる自己資金を抑えて購入するという方法もあります。
頭金を抑えるなど自己資金を減らすことはできますが、借入金額が増えて返済の負担が大きくなることは知っておきましょう。金利上昇の影響も受けることもあります。頭金が少ないと審査に通らない可能性もあるため、慎重に検討してください。
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執行役員 コンサルティング3部 本部長
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J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
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【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
新卒で入社した大手投資用マンションディベロッパーで、歴代最高売上を記録。その後、財閥系不動産会社で、投資物件のみならず相続案件、法人の事業用物件、マイホームの購入や売却といった様々な案件を経験。 2018年にJ.P.RETURNSの新規事業部立ち上げに参画。また、セミナー講師として、延べ100回以上の登壇実績を持ち、年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)