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不動産投資の対象物件として、マンションやアパートを思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、戸建て住宅を対象とした投資もあります。
この記事では戸建て投資の概要と新築戸建て投資・中古戸建て投資について解説します。
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目次
戸建て投資とは、一戸建ての住宅を他人に貸し出す目的で購入し、家賃収入を得る不動産投資のことです。
土地ごと一戸建て住宅を購入し、賃貸住宅を探している人に貸し出します。
投資物件を購入して家賃収入を得るという点は、他の不動産投資と共通していますが、実は戸建て投資には他にはないメリットがあります。
たとえば、マンションも一戸建ても投資物件を1カ所しか持っていない場合、空室リスクは同じです。
しかし、戸建て住宅はマンションやアパートと比べて耐用年数が長いという特徴があります。
しっかりメンテナンスすれば、40年でも50年でも住み続けられるのが一般的です。
定期的に壁を塗り直したり、リフォームしたりすることでさらに長く住むことが可能です。
戸建て住宅はマンションやアパートと比べて建て替えやリフォームをしやすく、住人の同意も得やすいといえます。
さらに、圧倒的に違うのが空室時の諸費用です。
マンション投資の場合、空室で家賃収入がないときでも、管理組合費や修繕積立金の支払いが発生します。
しかし、戸建て投資の場合は、空室のときは水道光熱費の基本料金程度で済むでしょう。
新築戸建て投資は、比較的家賃を高く設定できる点が魅力です。
駐車スペースや庭など、使い勝手にこだわった付加価値をつけやすい点も新築戸建てならではの良さだといえます。
新築であれば、耐震補強や最新の設備を取り入れて建てることができ、当分の間は修繕や建て直しが必要ありません。
しかも、新築で貸し出せば長く収益物件として貸し出せます。
そのうえ、最終的に賃貸するのをやめたくなったら、最後は更地として売ることも可能です。
建物の価値だけでなく、土地の価値も含めて投資できる点がマンション投資と大きく異なる点です。
特に、新築戸建て投資は最初から自分の土地を持っている人に向いています。
自前の土地の上に住宅を建てて他人に貸し出せば、家賃収入で固定資産税を賄うことも可能です。
新築戸建て投資の場合は、建てる段階からしっかり工事の状況を見ることも可能なため、瑕疵を発見しやすい点も安心といえます。
中古の戸建て住宅は世の中に大量にあります。
その中から賃貸にふさわしい物件を探して投資する形なので、比較検討が可能です。
実際に立っている建物を見て、借りる人と同じ目線で投資物件を選べるため、実際に借り手がいるかどうかを見極めやすいのが中古戸建て投資のメリットといってよいでしょう。
ただし、中古戸建て投資をする際には、築年数や立地をよく考えることが大事です。
いくら築年数が浅く最新設備の付いた中古戸建てでも、賃貸ニーズの少ないエリアの場合は、なかなか借り手が現れません。
また、戸建て住宅がいくらマンションやアパートよりも耐用年数が長いといっても、30年を超える築年数の戸建て住宅を投資用に購入するのはかなり厳しい部分があります。
リフォームにお金がかかるのはもちろん、耐震補強や基礎工事などに莫大なお金がかかることも考えられます。
賃貸を始めた後で瑕疵が見つかると厄介ですから、中古戸建て投資をする際には、隠れた瑕疵がないかどうかの確認もしっかりすることが大事です。
戸建て投資に関して「都市型」と「郊外型」に分かれます。特徴をまとめると、以下のような感じです。
「都市型」は一都三県、駅から徒歩圏が中心になります。再建築不可や借地などを問わなく、建物延べ床面積は30㎡台から取組が可能。一般的な考え方として、物件価格+リフォーム費用で1千万円前後に抑えられれば高収益と言われています。都内で普通に住める戸建であれば、築年に関わらず賃料で10万は取れる物件である事が大事なポイントとなります。
「郊外型」は一般的には立地を問わない物件を指します。抑えるべきポイントとしては、駐車場が確保できる敷地と、建物延べ床面積50㎡台以上である事。基本的には再建築ができる所有権を取得できる物件である事。物件価格+リフォーム費用で500万円前後に抑えられれば高収益と言われています。駐車場付きで家賃5万は取れる物件である事が大事なポイントとなります。
不動産投資において利回りは、物件購入価格が低いほうが高くなります。そのため物件購入価格が高めの都市部と比較して、郊外のほうが利回りが高くなるのが特徴です。
戸建て物件の利回り相場に関して、郊外の利回りの理想は10%といわれています。これに対して都市部の利回りは7%が理想と言われています。
利回りは築年数にも影響され、実際の利回り相場は新築物件で5~6%、中古物件で6~8%が相場とされています。利回りの高い物件を探している場合は、郊外の中古物件を購入すると良いでしょう。
説明した利回りの数字は、あくまでも表面利回りです(表面利回り:購入時や、年間で掛かる諸経費を計算しない数字)そのため、表面利回りの数字だけで利回りを判断することは避けたほうがよいでしょう。表面利回りは物件を比較する際に、ひとつの目安とすることをおすすめします。
物件を決める場合には、現地に足を運んで周辺の住環境や家賃相場、賃貸需要について調べると良いでしょう。現地環境や実際に掛かる諸費用をきちんと把握して、ニーズを満たす物件であるかを確認することが大切です。実質利回りやキャッシュフローを計算して、損をしないように気をつけましょう。
戸建て投資を検討するにあたって、他の不動産投資の内容や種類にどの様な特性があるのかや、メリットやデメリットも理解している事が成功への近道です。
不動産投資が検討できる下記6つのタイプについて解説します。
区分マンションや一棟投資の場合、集合住宅を購入することになりますが、戸建て住宅を購入し運用する投資手法です。
戸建て投資のメリットは一般的に投資用物件が多くないことから、近隣の物件と競合しづらく、入居者の取り合いになりにくい点があります。区分マンションやアパートは流通量が多く、運用している投資家も多いため、立地によっては、物件の供給過多で入居者を集めづらい点があります。
その他メリットとして、戸建て住宅は土地とセットで購入することが多く、特に区分マンションと比較すると、資産価値が高くなる点があります。
一方で、戸建てに住むのは子持ちのファミリー世帯が多く、分譲住宅と競合になりやすい点がリスクとして挙げられます。低金利が続いている2022年時点では、住宅ローンの金利が低いことや、住宅ローン減税などメリットも多く「賃貸で家賃を払うよりも、ローンを使って住宅を購入したい」と考える人も少なくありません。
戸建てに投資する場合は、周辺の住環境や家賃相場・家賃推移などの調査や、あえて空室率を高めにして、ストレスを掛けた収支シミュレーションをしておくなど、空室対策も重要になります。
区分マンション投資とは、ワンルームマンションやファミリータイプマンションに投資する手法のことを指します。ワンルームとファミリータイプとでは、同じマンションであっても特徴が異なります。
ワンルームマンションの場合、住戸の広さが25㎡などの専有面積で入居者が入るため、物件価格がそれほど割安な点がメリットです。
ただし、一般的には新築の場合は特に利回りが低くなると言われています。部屋が広くない特徴から家賃をそれほど高額に設定できないためです。
また、特にワンルームマンションは、立地が良くないと空室リスクが大きくなります。主に単身者のサラリーマンや大学生などが入居者になるため、交通利便性や生活利便性の高い立地を好むためです。
ファミリータイプマンションの場合は、子持ち世帯の入居を考慮すると、駅距離やスーパーの有無、学校や病院など住環境の良さも物件選びのポイントになります。
また、単身者と比較して入居期間が長くなるメリットがありますが、流動性が低くなるため入居者付けに苦労する傾向がある点に注意が必要です。ファミリータイプの場合も、ワンルームとは異なる視点で立地にこだわり、物件を選ぶことが重要となります。
マンションやアパートを一棟丸ごと所有し運用する投資手法です。区分マンションよりも物件価格が高く、多額の初期費用を要する点が一棟投資のデメリットですが、投資規模が大きくなることでより多くの収益を得やすい点がメリットとなります。
その他、複数の部屋を並行して運用することになるため、例えば1つの住戸で空室が発生しても、他の住戸の収益で穴埋めできる点が一棟投資のメリットと言えます。区分マンション投資の場合は、複数の住戸を同時所有していないと、空室が発生した場合に収益が入ってきません。
また、木造アパートはRC造の建物と比較すると、法定耐用年数が短いため、築古物件はローン審査が厳しくなります。ローンの利用可否は物件の売却難易度に関わるため、木造物件の場合は物件の売却まで見越した出口戦略を立てておくことが重要です。
区分マンションや戸建てなど、住宅を宿泊施設として運営することで、家賃ではなく宿泊料収入を得る方法が民泊運営です。例えば、空き家を安く購入し、リノベーションによって民泊施設にすることを検討する事ができます。
物件次第で賃貸経営よりも初期費用を抑えられる点が民泊運営のメリットです。一方で、区分マンションの場合は、管理組合によって民泊運営が禁じられていることもあります。民泊運営を目的として区分マンションを購入・転貸する事を検討するのであれば、事前に管理組合への民泊可否について確認が必要です。
その他、日本で民泊事業が浸透してきた背景に、外国人旅行者による大きなニーズ(インバウンド需要)がありましたが、2022年2月時点で日本国内でコロナウイルス感染症が収束していないため、外国人と日本人とを問わず、旅行需要が減っている点には要注意です。
シェアハウス運営とは、1つの住戸内に複数人の入居者を集めて運用する投資手法です。1住戸に対して複数の入居者から家賃を集金できるため、初期費用を抑えながら空室リスクを分散できる点がメリットと言えます。
また、入居者の人数と家賃設定によっては、通常の賃貸経営よりも高利回りの運用が可能です。
一方で、区分マンションの場合は、民泊と同じく管理組合によってシェアハウス運用が禁止されている場合もあります。そのほか、入居者同士のトラブルにも注意が必要です。
シェアハウスを運用する場合は、通常の賃貸経営とは違う視点も持って入居者を審査するなど、トラブル防止の対策が必要になります。
REITとはReal Estate Investment Trustの略であり、投資信託の一種です。投資家は不動産証券を購入することで、不動産を購入・運用する運営会社に資金を提供し、運用益の分配を受けます。
REITに投資するメリットは、実物不動産投資と比較し圧倒的に初期費用が少なく済む点です。REITには1口1万円など少額取引されているものも多く、金融機関で証券口座を開設すればすぐに投資できます。
また、証券市場を通じ売買するため、実物不動産と比較すると短期間で売却可能です。流動性の高さもREITに投資するメリットと言えます。
一方で、実物不動産の投資と違ってREITの購入には金融機関の不動産投資ローンを利用できない点がデメリットとなります。市場の影響を受けやすく、急な基準価額の変動がおきるリスクがあることにも注意が必要です。
戸建て投資の中でも、特に中古物件は市場価格が安く、初期投資を抑えたい人に向いています。立地や築年数、敷地面積にもよりますが、安い戸建てなら土地込みで数百万円で購入可能です。
ローンを利用すれば、レバレッジを掛ける事で自己資金以上の物件にも投資できるものの、投資額が膨らむと利子の負担や返済ができなくなったときに大きなリスクとなってしまいます。
まずは小さい初期投資でリスクを抑えて運用したいと考えているなら、戸建て投資を検討すると良いでしょう。
戸建投資を検討する人にとって、最初の一軒目で失敗しない事が非常に重要になります。
一般的には数百万円程度の初期費用が必要になりますので、一軒目で大きな失敗してしまうと回収するのに膨大な時間がかかってしまいます。
戸建投資で大きな失敗に繋がりやすい事例を解説します。最低限ここだけは確認することをオススメします。
一般的に収入源は家賃収入のみとなります。戸建投資でよくある失敗として、購入前に想定していた家賃では入居者が決まらないというパターンがあります。
上記で見込んでいたが、入居付けに苦労して仮に家賃が3万円しか取れないとなった場合、利回りは一気に12%まで落ち込みます。想定賃料の試算が適切でない場合に、当初の設計が大きく崩れる可能性があるという点を注意する必要があります。
しっかり想定通りの家賃が取れる物件なのかどうかを事前調査するのは最も重要な対策のと言えます。類似した立地の物件をネットで調べたり、地場の不動産会社に訪問しヒアリングをすることが重要となります。
戸建投資は、投資額の中でもリフォーム費用が大きなウェイトを占める投資方法です。
ワンルームマンションと比較して、屋根や外壁も必要に応じてリフォームしていかなければなりません。且つそもそも面積が広いこともあり、リフォーム箇所も当然多くなります。
結果、リフォーム費用の見積が甘く、利益を残せなくなる投資家も少なくありません。
リフォーム費用の中でも特に注意して確認したいのは、「雨漏り・水回り(風呂・トイレ・給排水管等)・外壁(塗装の状態、クラック等)・傾き(地盤自体が弱いなど)床下の状態(湿気や腐食)ベランダの腐食(鉄部等が腐って等)シロアリ被害」などがあります。
戸建投資で失敗を回避するためには、リフォーム費の相場を理解し把握しておくことが重要です。
戸建投資をするにあたり、駐車場の有無は重要項目の一つです。
単価の安い戸建物件は、基本的には郊外に多くありますので、車移動が前提になっている事が多く、駐車場がなければ生活に困ってしまう人も大勢います。
都心部では、駅から遠い物件を好んで借りる人は少ないかと思いますが、それと同じように駐車場の無い物件をあえて選ぶ人が少ないという点があります。駐車場が無いだけで、入居者付けで苦戦を強いられる地域もあるので要注意です。
戸建て投資は物件を購入する立地を吟味すれば、最終的には土地の収益も見込めます。
マンションやアパートよりも戸建て住宅のニーズが見込めるエリアなら戸建て投資を狙った方がよいでしょう。
元々使っていない土地があるなら、新築戸建て投資を始めるチャンスです。
一方、土地ごと購入するのであれば、物件を比較できる中古戸建て投資がおすすめです。
J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
新卒で入社した大手投資用マンションディベロッパーで、歴代最高売上を記録。その後、財閥系不動産会社で、投資物件のみならず相続案件、法人の事業用物件、マイホームの購入や売却といった様々な案件を経験。 2018年にJ.P.RETURNSの新規事業部立ち上げに参画。また、セミナー講師として、延べ100回以上の登壇実績を持ち、年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)