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不動産投資によって給与以外に所得がある場合は、確定申告をする必要があります。確定申告について難しいイメージを持っている方もいるかもしれませんが、もし申告せずにいるとペナルティが発生するケースもあるので、忘れずに行うことが大切です。
当記事では、不動産投資をしている方向けに確定申告の流れや必要書類、注意点を詳しく解説します。確定申告時に青色申告を行うことでより節税効果が得られるため、ミスなく申告できるよう理解度を深めましょう。
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目次
不動産投資や不動産経営をしている方は、確定申告が必要となる可能性が高まります。以下の条件のいずれかに当てはまる場合は、確定申告が必要です。
特に、不動産から得られる所得が20万円を超える場合、確定申告は必須です。所得とは、経費を差し引いた後の金額を指します。単に受け取った金額だけを考えるのではなく、経費との関係も理解することが大切です。
一方、利益が出ない場合でも、不動産投資で損失が出ている方は、損益通算の利点を活用するために確定申告を行うとよいでしょう。損益通算とは、不動産投資で損失を出した場合に他で得た課税所得と相殺できる制度です。
損益通算を行うと所得税や住民税の軽減が期待できるため、節税効果を望むのであれば確定申告が必須となります。
確定申告には主に「白色申告」と「青色申告」の2つの方法が存在します。それぞれの特徴やメリット・デメリットは、以下の通りです。
白色申告 |
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白色申告は初心者でも手軽に始められます。簡易簿記で記帳するため、税務署への事前申請は不要です。日々の収入や経費を大まかにまとめて記帳することが認められています。
【メリット】
【デメリット】
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青色申告 |
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青色申告は特別な控除を受けることができる反面、厳密な簿記が必要とされます。原則は青色申告書を作成する年の3月15日までに、その年の1月16日以後に新しく業務を始めた方は新規開業から2か月以内に「青色申告承認申請書」の提出が必須です。
【メリット】
【デメリット】
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不動産投資をしている方が確定申告をする際、さまざまな書類の準備が必要です。正確かつスピーディに申告を終えるためにも、あらかじめ必要な書類をそろえておきましょう。ここでは、不動産投資の確定申告でどのような書類が必要なのか、5つのカテゴリに分けて解説します。
取得した不動産の初期費用には、経費として認められるものが数多く含まれています。確定申告では、経費の根拠となる書類の準備が必須です。
・不動産売買契約書
不動産売買契約書は、不動産の取得や売却をした年度内に用意する書類です。不動産の住所・構造・契約金額・引渡時期などが明記されており、経費や減価償却の計算に必要となります。また、不動産の売却によって利益が生じた場合も、正確な納税額の算出に欠かせません。
・売渡精算書
売渡精算書は、不動産取得時の費用の詳細を示す明細書です。取得時にかかった費用を確認するため、不動産会社から提供されます。売渡精算書が必要なのは初年度のみです。
上記の書類は確定申告時の重要な根拠書類となるため、しっかりと管理しておきましょう。
該当年の所得と不動産投資で得た利益や出した損失の証拠として、以下の3つの書類が必要となります。
・賃貸借契約書(賃貸契約書)
賃貸借契約書は、不動産賃貸業をしている証となる書類です。確定申告の際には、賃貸経営者が賃借人の氏名・住所・契約期間・賃貸料・礼金などの情報を示さなければなりません。サブリース会社との契約がある場合、賃借人欄にはその会社名を記載します。
・家賃送金明細書
家賃送金明細書は、賃貸管理会社を経由して収入を得ている場合に家賃収入を証明する書類です。通帳の履歴でも代用できます。
・源泉徴収票
源泉徴収票は所得税が差し引かれた金額を示す書類で、確定申告書Bの記入に使用します。会社や役所での勤務者や公的年金受給者が家賃から収入を得た場合、確定申告では給与や年金と家賃収入を合算しなければなりません。源泉徴収票は年末調整後に発行され、受け取るタイミングは会社によって異なります。
確定申告では上記の書類を適切に使用し、正確な申告を心掛けましょう。なお、家賃収入には礼金や更新料、駐車場利用料などが含まれますが、敷金は預かり金の扱いとなり、収入としては計算されません。
不動産投資に関わる税金は、下記のように「租税公課」として計上できるものとできないものがあります。
・経費として計上できる税金の種類
・経費として計上できない税金の種類
経費として扱える各税金の納付書や通知書は大切に保管し、確定申告の際には必要経費として計上しましょう。
不動産投資での経費を適切に計上するためには、正確な書類の保管が欠かせません。経費計上が認められるお金に関する書類は、以下の3つを特に注意して管理する必要があります。
・借入返済票
金融機関から1年に一度送付されるローン返済表です。この中の金利部分と保証料は経費として計上できます。元本は経費にはならないため、混同しないようにしましょう。
・譲渡対価証明書
不動産の建物と土地の割合を示す書類で、減価償却を算出する際に必要です。不動産会社から受け取り、最初の確定申告時にのみ提出します。売買契約書に記載されているなら必要ありません。
・各種領収書
管理費や修繕費として支払った費用は必要経費として認められるため、領収書をしっかり保管しましょう。修繕積立金や賃貸仲介手数料も経費として計上可能です。管理会社に委託している場合は、管理会社を通して受け取ります。
以上の書類は、確定申告時に経費を計上する証明書類として必要です。不動産投資を行う際は、書類の管理を怠らないよう注意しましょう。
確定申告で適正に申請すれば、さまざまな控除を受けることが可能です。主な控除と必要な書類は以下の通りです。
社会保険料控除
生命保険料控除
医療費控除
住宅借入金等特別控除
ふるさと納税
寄付金控除
各種控除を受ける際は、適用の対象となる事柄ごとに指定された書類を用意しなければなりません。また、自然災害で被害に遭った場合は、雑損控除もしくは災害減免法のいずれかが受けられることがありす。
会社員が不動産投資を行う際、確定申告手続きは避けて通れない義務の1つです。確定申告期間は翌年の2月16日から3月15日までと定められていますが、準備自体は早めに始めても問題ありません。
ここでは、確定申告の流れを4つのステップで解説します。
確定申告を行うためには、適切な書類の準備が欠かせません。不動産売買契約書や賃貸借契約書などの不動産関連の書類や、経費や控除に関する書類をそろえておきましょう。必須書類の多くは、不動産投資を行った際に取引先から受け取っています。給与所得がある方は、源泉徴収票も準備しておかなければなりません。
なお、領収書や明細書は税務署に提出するのではなく、金額の根拠を確認する際に使います。書類の保存期間は7年間で、税務調査の際に提示を求められる場合があるため、確実に保管しましょう。また、確定申告書作成時にはマイナンバーを記載する必要があります。マイナンバーカードや通知書も忘れずに用意してください。
決算書の作成は、不動産事業の収入と支出を明確にするために必要です。以下、白色申告と青色申告での決算書の違いと内容を簡単に解説します。
・白色申告の場合
白色申告で作成するのは、収支内訳書です。収支内訳書では、年間の売上や仕入、経費などを勘定科目ごとに集計します。すべての収益から仕入や経費を引いた残りが年間合計所得金額であり、税額計算の基礎です。不動産所得の場合、収支内訳書の「不動産所得用」を使用します。
・青色申告の場合
青色申告で作成するのは、青色申告決算書です。青色申告決算書は損益計算書や損益計算書の細目、賃借対照表で構成されています。損益計算書は不動産からの収益と経費を差し引いた1年間の利益額、貸借対照表は、資産と負債の状況を示す部分です。青色申告にはメリットも多いものの、書類の作成に手間がかかることも覚えておくとよいでしょう。
不動産投資をしている方が使用する確定申告用紙は、青色申告者・白色申告者いずれであっても「確定申告書B」です。確定申告書Bには「第一表」と「第二表」があり、第一表には収入や所得の集計金額を、第二表には所得の内訳や社会保険料控除、生命保険料控除などの詳細を記入します。
記入する際は「第二表」から作業を始めると、間違いを起こしにくくおすすめです。例えば、不動産所得を申告する場合はまず収支内訳書の計算結果を第二表に記載し、その集計値を第一表に転記します。最後に基本情報を記入して税額を計算し、完成です。
確定申告書類の作成方法は、手書きするか専用のソフトを利用するか選択できます。手書きで作成して還付申告となる場合、振込先口座を忘れずに記入しましょう。
確定申告書の提出方法は、以下3つの方法があります。期日に間に合うよう提出しましょう。
・税務署の窓口に提出する
税務署への直接持参は、もっとも基本的な方法です。提出前に職員へ手続きに問題ないかどうかも確認できます。混雑が予想されるため、時間に余裕をもって窓口に向かいましょう。
・税務署に郵送する
確定申告書は信書に当たり、郵便物として送付する必要があります。宅配便などの荷物扱いでは送れません。通信日付印が提出日とみなされるため、期限内に印が押されるよう余裕をもって送付しましょう。
・オンライン提出を行う
国税庁のe-Taxシステムを利用すれば、オンラインで電子申告が可能です。確定申告時期は24時間利用でき、特に忙しい方には便利です。節税のメリットもあり、効率的な方法といえます。ただし、手元にマイナンバーカードおよびICカードリーダーやスマホなど読み込み用の機器が必要です。
不動産投資によって確定申告を行う必要が生じた場合、ミスを起こさずに節税しつつ、適正に納税を済ますためには、いくつかの点に注意しなければなりません。
ここでは、不動産投資の確定申告を自分で行うときに特に注意したい点を、3つ解説します。
確定申告は、毎年2月16日~3月15日の間に行うのが原則です。申告の必要があるにもかかわらず手続きを忘れてしまうと、以下のようなペナルティが発生します。
無申告加算税 | 期限内に確定申告をしなかった |
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納付税額の50万円までの部分には15%、50万円以上の部分には20%加算。ただし、法定申告期限から1か月以内に自ら手続きを踏めば免除される。 |
過少申告加算税 | 申告した税額が本来の税額よりも少ない場 |
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新たに納める税額の10%が加算される。新たに納める税額が、当初の申告額もしくは50万円で多い方の金額を上回る場合、超えている部分は15%の加算となる。 |
重加算税 | 意図的に所得を隠して確定申告をした |
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意図的な過少申告では35%、意図的な無申告では40%加算される。 |
延滞税 | 税金の納付が期限内に行われなかった |
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期限から完納日までの日数に応じて、最大で14.6%が加算される。 |
上記のペナルティに加え、青色申告特別控除額が65万円から10万円に減額されます。さらに、社会的信用の低下や金融機関からの融資に支障が出るリスクもあるため、必ず期限内に確定申告および納税を済ませましょう。
不動産投資を行う際、経費計上を適切に行うことで税の負担を軽減可能です。
【経費に計上できるもの】
上記の経費は、基本的に不動産収入を得るための必要経費として認められます。ただし、修繕工事の費用が高額になった場合や上位の設備に交換した場合などは、資本的支出として減価償却の扱いになるケースがあります。
【経費に計上できないもの】
上記は不動産収入を得るための必要経費とは見なされず、計上できません。特に住民税や所得税は、不動産を所有しているかどうかに関係なく課せられます。
経費として計上する際は、必要なときに証拠として提示できるよう、レシートや領収書をきちんと残しておきましょう。
建物や設備など長期的に使用する資産は、経過した年数に応じて価値が下がっていきます。資産の価値を耐用年数で分割して経費に計上することを「減価償却」と呼び、経理上の処理として毎年一定の額を経費として計上することが可能です。
例えば、鉄骨鉄筋コンクリート造の建物を購入した場合、法定耐用年数に従って47年間で減価償却を行います。47年をかけて建物としての価値は徐々に下がり、47年後には価値がないと認識される仕組みです。しかし、土地の価値は減少しないため、減価償却資産には含まれません。
減価償却の最大のメリットは、実際の支出がないのに経費として計上できる点です。購入した建物の価格を一度に経費計上せず、法定耐用年数にわたって分割して経費計上することにより、長期間の節税効果が得られます。さらに、不動産所得の赤字と給与所得を相殺する損益通算により、節税効果を高めることが可能です。
不動産投資の確定申告は、自分だけでも行うことが可能です。国税庁が用意したオンラインサイトや民間企業が提供する各種会計ソフトを利用すれば、比較的簡単に書類を作成できます。日々の取引記録をきちんと管理している方や複式簿記の知識がある方なら、作成はさらにスムーズです。
しかし、自信がない方や投資物件が多い場合、作業は難しくなります。期限内の正確な作業に不安を感じる場合、税理士への依頼も考慮するとよいでしょう。確定申告が正確にできるだけでなく、節税のアドバイスももらえます。ただし、税理士のサポートを受けるには、相応のコストがかかる点が問題です。
不動産投資会社によっては、確定申告のサポートを提供しているところもあります。投資を検討している方は、サポート面にも着目して投資会社を選ぶことをおすすめします。
不動産投資をしていて、不動産所得が20万円を超えている方や勤め先で年末調整がされない方は確定申告を行う必要があります。また、不動産所得が赤字の場合は、確定申告で損益通算を行うと所得税や住民税の節税にもつながります。
確定申告では、収入や税金・経費を証明する書類を用意したり、決算書を作成したりしなければなりません。確定申告の作業は計画的に進め、もし不安な場合は税理士や不動産会社に相談をしましょう。
J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
大学在学中に家庭教師のアルバイトをきっかけにデイトレーダーへ転身。24歳で資産運用法人を設立する。25歳から大手投資用マンションディベロッパーと業務提携後、およそ6年間にわたり資産運用アドバイザーとして活躍。その後、大手不動産仕入れ会社で販売統括責任者として従来の投資用物件の流通システムを革新するプロジェクトを立ち上げる。国内最大規模の投資イベント「資産運用EXPO」で登壇実績があり、同業他社からも多くの見学者が立ち見の列を作った。2020年にJ.P.RETURNSに参画。オンラインでの商談やWEBセミナーを導入し、コロナ禍でも年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)