年収1200万円の場合、手取り額は7~8割程度の約850万~1000万円となります。独身の場合は余裕のある生活ができるものの、子どものいる世帯では自由に使えるお金が足りないと感じることもあるでしょう。
この記事では年収1200万円の方が納める税金や社会保険料の種類・金額などを踏まえ、おすすめの税金対策の方法を5つ紹介します。節税につながる方法として注目されている不動産投資についても触れるため、ぜひご一読ください。
目次
年収1200万円の人の手取り額は約850万~1000万円です。ただし、扶養家族の有無などによって手取り額は異なるので、すべての人にあてはまるわけではありません。
手取りとは、実際に貰える額面のことで、年収とは異なります。給与明細にある「差引支給額」という項目が、手取りと同じ額面です。
年収は、1年分の給料にプラスして賞与や特別手当、役職手当などが加算された金額を言います。年収から税金や保険料を引き、手元に残るのが手取り金額です。
会社から1年間に支給されるすべての賃金が年収、銀行口座に振り込まれる金額が手取りと覚えておけばよいでしょう。
年収から差し引かれる税金や社会保険料は、所得税・住民税・厚生年金・健康保険料・雇用保険料などです。40歳以上の人は介護保険料もかかるため、引かれる金額はさらに多くなります。
年収1200万円以上でも、手取りは約7~8割になるため、世帯によっては余裕がありません。独
身の場合は豊かな生活を送れる金額ですが、被扶養者がいる場合、生活費や教育費がかさみます。
年収が1200万円を超えると、配偶者控除・配偶者特別控除は適用外です。
また、2023年2月時点では所得制限により児童手当の給付や奨学金の貸与が受けられません。
家族のいる世帯は、さまざまな控除や補助金が受けられず、生活が苦しくなる可能性があります。
年収1200万円の人が就いている主な職業は、以下の通りです。
【年収1200万円の人の主な職業】
・医師 ・弁護士 ・司法書士 ・行政書士 ・公認会計士 ・税理士 ・大手総合商社社員 |
医師の平均年収は1200万円を超えると言われており、弁護士や司法書士、行政書士などの士業は、年収1000万円を超える職業として知られています。
また、個人の実績や年齢に左右されるものの、大手総合商社に勤務し、国内外で活躍するサラリーマンに関しても年収が高いことが特徴です。
税金対策をするにはまず、納める税金の内訳を知っておくことが大切です。
税金や社会保険料は、年収に一定の割合を乗じて求めるため、年収が増えると額面が増えていきます。
まずは自分が納めている金額や内訳を理解することが節税の第一歩です。
ここからは、年収1200万円の人が納める税金や社会保険料について詳しく紹介します。
所得税は稼いだお金にかかる税金を指し、年収1200万円の場合、約120万円です。給与所得者が所得税を算出する方法は次の通りです。
課税所得×税率-税額控除=所得税
課税所得=所得ー(給与所得控除+所得控除)
まず1年間に支給された給料から給与所得控除と所得控除の金額を引いて課税所得を計算します。年収1200万円の給与所得控除は195万円です。
所得控除には、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などがあり、家族の有無や生命保険の加入状況によってそれぞれの世帯で適用になる項目が異なります。
次に、課税所得に所得税率を乗じた金額から、一定の控除額を引きます。
なお、所得税は累進課税方式が取られており、課税する金額が上がるほど税率も上がります。
住民税は、地域の行政サービスに必要な経費をまかなうため、区市町村と都道府県から徴収される税金です。年収1200万円の人の住民税は、約80万円に上ります。
住民税は、所得割と均等割から成り立っており、次のような計算式になります。
住民税=税額控除後の所得割額+均等割額
税額控除後の所得割額=課税所得×10%ー税額控除
所得割の税率は一律10%、均等割は所得金額に関係なく一定で、2023年2月時点では年額5000円です。税額控除には、配当控除や寄付金控除などが該当します。
なお、住民税は地域によって若干異なるため、正確な税金の計算方法は住んでいる地域の公式サイトなどで確認してください。
社会保険料は、企業で働く人を守るために必要な保障の財源になります。社会保険料は一般的に年収の約15%なので、年収1200万円の場合、約180万円です。
給料から引かれる社会保険の種類は、次の4つです。
介護保険は40歳以上の人が対象になります。
なお、会社員は労災保険にも加入していますが、労災保険の保険料は会社が全額負担するため、給料から引かれることはありません。
年収が1200万円あっても税金や社会保険料が引かれるため、手元に残るお金に満足できないと感じる人は多いでしょう。
補助金や助成金など公的な給付も対象外となることが多く、生活が苦しくなる人も少なくありません。税金などが高いと感じる場合、制度の活用や資産運用によって税金対策ができます。
ここからは、年収1200万円の人向けの税金対策について解説します。
ふるさと納税は、自分の育った自治体や応援したい地域に寄附する制度で、厳密に言えば節税ではなく家計の節約です。
ふるさと納税額が2000円を越えた分については、確定申告すると、所得税や住民税から全額控除されます。また、ワンストップ特例制度の要件を満たせば、寄附先の自治体に申請するだけで控除が受けられます。
なお、控除額には上限があり、年収と家族構成によって年間上限額が異なるので注意が必要です。年収1200万円の独身の人は、年間約24万7千円までの寄附が控除の対象です。
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して建物を購入・リフォームしたときに適用されます。控除額は、住宅の環境や入居年などによって異なるため、自分の住宅ローンが控除対象になるか確認が必要です。
なお、住宅ローンは家族構成やライフプランを考慮して組みましょう。年収1200万円の人は、月々約20万円までを住宅ローン返済額に設定しておくと、無理なく生活できると言われています。
国民年金保険料は、先払いすると割引されます。口座振替によって2年度分前納するのが最もお得で、約16000円の割安となります。
厚生年金に加入している人は国民年金を納める必要はありませんが、20歳を超えた子どもがいる場合、節税になる可能性があります。子どもの年金を親が代わりに支払うと、確定申告によって税金が戻ってきます。
子どもの年金は、学生特例で支払いの猶予を受けている世帯も多くありますが、年収の高い親が支払うと還付金が多くなる仕組みです。子どもの年金支払いと前納割引をうまく活用すれば、年金を約3か月分節約できる世帯もあります。
iDeCoもNISAも、金融商品の運用益が非課税になるため、資産形成がしやすいという特徴があります。
iDeCoは、自分で決めた額の掛金を積み立て、将来に向けて年金を作る個人型確定拠出年金です。NISAは、投資によって得た収益が非課税になる制度で、一般NISAとつみたてNISAの2つのタイプを選べます。
iDeCoは、運用益に加えて毎月の掛金も非課税ですが、60歳まで引き出せません。
iDeCoとNISAは同時に運用できるので、老後の資金を形成するのはiDeCo、数年後・数十年後に引き出すお金はNISAで溜めるなど、使い道を分けて併用する方法もあります。
不動産投資は、マンションなどの物件を購入して貸し出し、家賃収入を得る投資方法です。値動きの激しいFXや株よりもリスクが低く、長期にわたり安定した収入が見込めます。
ローンを利用すれば数100万円から始められ、ローン完済後は資産として物件を持てるだけでなく、家賃収入が経済的な助けになるため初心者にもおすすめです。
年収1200万円以上の人が不動産投資を行うメリットとして、節税効果が挙げられます。
不動産投資は初期費用が多くかかりますが、投資で赤字になった分を所得税や住民税から差し引きできます。
所得金額がおさえられるため税負担が軽くなり、手取り収入の増額が期待できるでしょう。
また、不動産の取得にかかった金額は減価償却費として一定期間計上できるため、数年間わたり節税につながります。
他にも、不動産投資は生命保険代わりになるというメリットがあります。ローン支払い中に死亡や重度障害で支払いができなくなった場合、団体信用生命保険が下りるため、以降の支払いが免除され、残された家族の助けになります。
年収1200万円の場合、税金や社会保険料などが全体の2~3割ほど引かれるため、手取り額が物足りなく感じる人もいるでしょう。引かれるものには所得税・住民税・社会保険料などがあり、節税を考える方はそれぞれの計算方法などをしっかり把握しておく必要があります。
税金対策の方法には、住宅ローン控除や年金の先払いなどがあり、中でも不動産投資は老後の資産形成や生命保険替わりになるという点でもおすすめです。不動産投資に関心がある方は、ぜひJ.P.RETURNSにご相談ください。
J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
新卒で入社した大手投資用マンションディベロッパーで、歴代最高売上を記録。その後、財閥系不動産会社で、投資物件のみならず相続案件、法人の事業用物件、マイホームの購入や売却といった様々な案件を経験。 2018年にJ.P.RETURNSの新規事業部立ち上げに参画。また、セミナー講師として、延べ100回以上の登壇実績を持ち、年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)