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サラリーマンが不動産投資を取り組むのは、節税にもなり、同時に効果的な資産運用にもなります。昨今、給料がなかなか上がらないなか、税金や社会保険料の負担が増える一方なので、前よりも経済的な余裕を感じなくなった人も増えています。給与明細を見て、引かれる税額の大きさにびっくりした経験は多くの人がしているでしょう。
自営業であれば、さまざまな経費精算などで節税できますが、サラリーマンだと節税はできないと思い込んでいないでしょうか。不動産投資では、資産運用をしながら、合法的に節税できる仕組みがあります。
本記事では、サラリーマンが不動産投資で節税できる理由について説明し、具体的な節税シミュレーションも紹介していきます。
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目次
この章ではサラリーマンが実際にどのような仕組みによって不動産投資で節税できるのかを解説していきます。不動産投資を始めるまえに、基礎知識の一つとして、節税になる仕組みを理解しておきましょう。
サラリーマンは、不動産投資によって生じた赤字と給与所得と損益通算することにより、節税ができます。物件の貸し出しによって得た収入から経費を引いた金額を不動産所得と呼びます。給与所得から不動産所得の赤字を差し引くと、課税対象額が減少するために収める税金を減らせるのです。
不動産所得は赤字になるのは、家賃収入から不動産投資により支出した諸経費を差し引くためです。
累進課税制度により、サラリーマンの給与所得が高ければ高いほど、税金も多く課せられます。損益通算によって、課税所得を減らし、税率も低くなるために所得税を安くできるのです。
具体的な数字を使って説明していきましょう。
たとえば、給与所得が600万円で不動産所得の赤字が150万円の場合、計算式は以下のようになります。
4,500,000円(6,000,000円-1,500,000円)×20%-427,500(控除額)=472,500円 |
もし、不動産投資を行っていない場合は以下になります。
6,000,000円×20%-427,500(控除額)=772,500円 |
不動産所得の赤字によって、年間で30万円の差になります。さらに細かい金額については、後述するので、詳しくはそちらを見てみてください。
なお、所得税の税率は以下の表のとおりです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
上記の表の税率を見て分かるとおり、所得が大きくなるほど税率は上がります。したがって、不動産投資によって課税所得を減額幅が一緒でも、高所得の人の方がより節税効果が高まるでしょう。
特に不動産投資を開始する初年度は、不動産購入に関する諸費用など支出が多く、不動産所得の赤字は大きくなる傾向にあります。そのため、高い節税効果が期待できるでしょう。
損益通算で節税ができる具体的な仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>不動産投資の赤字は損益通算で節税になる!仕組みや良い赤字があることも理解しておこう!
不動産所得を赤字にするうえでは、減価償却が大きな役割を果たします。
減価償却とは、建物や機械など資産の取得にかけた費用の全額をその年の経費に計上せず、耐用年数に応じて分割した金額を費用に計上する仕組みです。建物の構造や用途によって耐用年数が定められており、決められた年数に分割して減価償却費を毎年計上します。
たとえば、鉄筋コンクリートのマンションは耐用年数が47年であり、購入価格を47年間にわたって経費計上できます。減価償却費は支出のない経費であり、節税しながらキャッシュフローを増やせるのがメリットです。また47年は新築の場合の年数であり、一方、中古は築年数によって減価償却期間が短くなり、より高い節税効果が期待できます。
減価償却を利用した節税のより詳しい仕組みについて知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
>不動産投資の『減価償却』を利用して節税できる⁉その仕組みや計算方法までプロが徹底解説
サラリーマンにとって、不動産投資は大きな節税効果を狙える唯一の手段といっても言い過ぎではありません。昨今の流れを見ると、サラリーマンは税金や社会保険料の負担が増える一方、節税によって手取り額を増やす選択肢は限られています。しかし、不動産投資を活用すれば、合法的に税負担を軽減でき、なおかつ資産形成によって経済的なゆとりも生み出せます。
最大の利点は、先述した損益通算により課税所得を圧縮できる点です。不動産所得の赤字を給与所得から差し引くことで、納税金額を減らせます。繰り返しになりますが、特に高所得者ほど、この効果は顕著です。
また、未経験者の多くが懸念している、不動産管理の手間も実際ほとんどかかりません。なぜなら、不動産会社に管理を委託することで、不動産オーナーの作業はあまりないからです。つまり、サラリーマンとして本業に専念しながら、不動産投資で効果的な節税と資産運用を両立できるのです。
今よりも手取りを増やして、ゆとりのある生活をしたいと考えているサラリーマンにとって、不動産投資は理想的な資産運用であり、節税効果も期待できます。そのため、多くのサラリーマンにとっておすすめできる選択肢といえるでしょう。
では、この章では実際にどれくらいの金額が節税できるのか、以下の条件で所得税と住民税がどう変わるのかをそれぞれでみていきます。
・年収:800万円 ・基礎控除:48万円 ・給与所得控除:190万円 ・社会保険料:121万円 |
【所得税の計算】
基礎控除など、各種控除の合計359万円を差し引いた課税所得は、「800万円−359万円=441万円」です。
課税所得441万円の所得税率は20%で、42万7,500円を控除します。
「441万円×20%−42万7,500円=45万4,500円」
所得税は45万4,500円となります。生命保険料控除や住宅ローン控除など、各種控除がある場合はさらに低くなるケースもあります。
【住民税の計算】
住民税の基礎控除は43万円のため、課税所得は「800万円−354万円=446万円」です。
住民税の税率は一律10%で、すべての住民に課せられる均等割の5,000円が加算されます。
「446万円×10%+5,000円=45万1,000円」
住民税は45万1,000円で、所得税との合計で年間に支払う税金は90万5,500円となります。次に、不動産投資で不動産所得に赤字50万円が出た場合の所得税・住民税を計算してみましょう。
【所得税の計算】
課税所得は損益通算により441万円から赤字の50万円を差し引き、391万円になります。
課税所得391万円をもとに計算した所得税は、以下のとおりです。
「391万円×20%−42万7,500円=32万7,500円」
所得税は32万7,500円で、不動産投資しない場合よりも12万7,000円の節税となります。
【住民税の計算】
課税所得の446万円と赤字の50万円を損益通算し、396万円が課税所得になります。
住民税の計算式に当てはめると、以下のとおりです。
「396万円×10%+5,000円=40万1,000円」
住民税は40万1,000円で、5万円の節税になります。
合計すると72万8,500円の税額となり、17万7,000円を節税できるという結果になりました。
参考:国税庁「給与所得控除」
参考:国税庁「所得税の税率」
参考:総務省「個人住民税」
このように、不動産投資で効果的に節税できるかを検証するには、事前の収支シミュレーションが重要です。
以下の記事ではモデルケースを立てて実際にシミュレーションをしていますので、併せて確認してみてください。
>不動産投資の節税はシミュレーションが大事。節税できる理由も解説
不動産投資で効果的な節税を行うためには、いくつか大事なポイントがあります。節税をする最終的な目的は、手元の資産を増やすことです。節税のみを目的とすると、節税できたものの、かえって手元の資産が減ってしまうなんてことも起こりかねません。
この章では、資産形成につながる節税を行うために以下の大事なポイントを解説していきます。
・節税効果が出やすい物件を選ぶ
・経費を上手に活用する
・信頼できる不動産投資会社を見つける
それぞれ順番に説明していきます。
不動産投資で節税効果が高いのは、築年数が古い中古物件です。
特に木造の法定耐用年数は22年と他の構造に比べて短く、同じ価格で同じ築年数の不動産と比べて減価償却費を大きく計上できます。減価償却費なので手元の資金を減らさずに、不動産所得の赤字を増やし、課税所得を減らすことが可能です。
また、法定耐用年数の22年を経過している場合、「法定耐用年数×20%」の年数で減価償却ができます。算出した年数に1年未満の端数があるときは端数を切り捨てるため、木造住宅であれば4年という短い年数になります。1会計年度で計上できる減価償却費が大きくなるために節税効果は絶大です。
これに対し、節税に向いていないのは新築区分マンションです。減価償却期間が長いため、1年間に計上できる減価償却費は少なく、節税効果はあまり得られません。不動産を購入した初年度は登記費用や金融機関に支払う諸費用などの支出があり、どの不動産でもある程度の節税効果を得られます。しかし、翌年以降に計上できる経費が少なくなり、節税効果はほとんど感じられない可能性
があるでしょう。区分マンションなら中古を選ぶ方が、節税効果が高くなります。
ただし、節税という観点ではあまり効果的でなくても、大きな資産を作る手段として優秀である点は変わりません。
節税を最大化するには、経費を適切に活用するのが重要です。経費を上手に計上できれば、課税所得を減らし、大きな節税効果を期待できます。
基本的な考え方として、家賃収入を得るための支出は経費として計上可能です。具体的な例としては、以下のようなものがあります。
・不動産管理会社への委託費用
・物件の修繕費や維持管理費
・火災保険料
・ローン利息
・固定資産税・都市計画税
・減価償却費
これらの経費を申告することで、課税所得を大幅に減らせます。特に、減価償却費は実際の支出を伴わずに経費計上できるので、手残りを多くする効果も見込めるでしょう。
一方で、注意点もあります。たとえば、不動産会社との交渉や金融機関への相談で着用するスーツ代や時計など、一見必要に思える支出でも経費として認められないものがあります。これらの項目を計上してしまうと、最悪のケースは税務調査の対象となってしまうので注意が必要です。
また、経費計上の金額や内容が分かる領収書や契約書などの証拠書類はしっかり保管しておきましょう。税務署から問い合わせがあっても、すぐに提示できるよう整理しておくのがベストです。
経費の活用は不動産投資による節税の要となります。適切な経費計上により、合法的かつ効果的に節税を行い、投資効率の最大化が可能です。ただし、判断に迷う場合は税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
節税して投資を成功させるためにも、信頼できる不動産投資会社を見つけるのは重要です。優良な会社と組むことで、効果的な節税と投資の成功確率を高められるでしょう。
また、詐欺や悪質な商法に巻き込まれるリスクを、最小限に抑えられるのもメリットです。不動産業界では、残念ながら投資家の利益よりも自社の利益を優先する企業も存在しています。そのような会社を避け、実績と評判のある会社を選ぶことで、安心して投資に取り組みながら資産拡大できるでしょう。
また、信頼できる不動産投資会社には優秀な担当者が多く在籍しています。経験豊富な担当者であれば、市場動向を的確に分析し、投資家の状況に合わせた最適な物件を提案してくれるので、投資の成功率は飛躍的に高まります。
良質な物件情報を手に入れられるのも、信頼できる会社の大きな利点です。優良な会社は幅広いネットワークを持っていて、くまなく情報を探しているので魅力的な物件を早期に見つけられます。その結果、高い収益性が見込める物件に投資するチャンスが増えます。
加えて、アフターフォローの質も重要です。信頼できる会社は、購入後も管理部分でも継続的なサポートを提供し、長期的な資産価値の向上をサポートしてくれます。購入-管理-売却まで一貫して対応できる会社を選ぶと、手間を最小限にしつつ、資産拡大できるでしょう。
自分に合う信頼できる不動産投資会社を見つけるには、口コミや評判を調べ、実際に相談を重ねることが大切です。手間はかかるものの、無料相談などを活用して、将来の資産形成に大きく貢献する強力なパートナーを見つけてみてください。
J.P.RETURNSでは、オンラインでもプロのコンサルタントによる無料相談を承っています。ぜひ、ご都合つくタイミングで活用してみてください。
不動産投資で節税と聞くと、真っ先に思いつくのは先述のとおり、所得税や住民税といった毎年発生する税金です。しかし、それ以外にも相続税や贈与税の納税額も減らせるのです。それぞれ具体的に説明していきます。
主な相続財産が預貯金などの場合、資産の保有形態を不動産に変えて相続税を下げることが可能です。相続財産が1億円の現金であれば、相続税評価額も額面通りの1億円です。
しかし、不動産では市場価格が1億円でも、相続税評価額は低く算出されます。評価額が低くなるほど支払うべき相続税が少なくなり、節税になるでしょう。
物件の種類や借り入れの有無によって評価額は変わるものの、市場価格の50~70%程度まで低く見積もられるケースも珍しくないです。
また、相続税は基礎控除額があり、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」の金額以下であれば相続税を納める義務はありません。そのため、同じ保有資産でも現金として保有しているか、不動産として保有しているかで納税額が大きく異なる場合もあるでしょう。
毎年の所得税・住民税のみならず、相続時までも節税効果があるので、物件規模によっても金額は異なるものの、トータルでの税の圧縮効果は数百万から1,000万円以上の大きな差になります。
不動産投資は贈与税対策にもなります。贈与税とは、個人から財産を譲り受けた際に課せられる税金です。贈与税の評価も基本的に固定資産税評価額を基準にし、賃貸している事情も考慮されるのは相続税と同様に考えてよいでしょう。
贈与税は基礎控除が110万円で、控除後の金額によって税率が決められています。たとえば贈与税の評価額が3,000万円の不動産を贈与する場合、基礎控除後の2,890万円は税率45%で、265万円が控除されます。
また、一定の適用条件を満たせば「相続時精算課税」という方法を選択可能です。贈与者が贈与する年の1月1日に60歳以上の父母か祖父母であり、受贈者は同じように20歳以上かつ贈与者の直系卑属(子どもや孫)である場合です。
相続時精算課税を選択した場合、生涯のうちに受け取る財産が2,500万円を超えなければ課税されません。ただし、財産を受け取っていない年であっても毎年申告する必要があります。
評価方法や暦年課税と相続時精算課税のどちらを選択した方がいいのかなど、悩む場合は専門家に相談してみるのがおすすめです。
一部のお金持ちしか、節税は関係ないと思っている人も多いかもしれませんが、不動産投資による節税は多くの人にとっても効果的です。特に以下の特徴に当てはまる方は、不動産投資の節税効果を最大限に活用できるといえます。
忙しい会社員でも管理を委託することで十分に運用できるので、資産形成に加えて、節税の効果的な手段として活用してみてください。
・課税所得が900万円を超える人
・安定的に収入がある人
・将来的に資産を大きくしたいと考えている人
それぞれ解説していきます。
課税所得が900万円を超えている人は、不動産投資による節税メリットが大きくなります。
課税所得が900万円以上になると、所得税率は33%と899万円以下よりも10ポイントも高くなるためです。
課税所得が900万円の方の所得税は、900万円×33%-153万6,000円(控除額)=143万4,000円です。
一方、不動産投資によって赤字を出して課税所得が800万円になると、所得税は800万円×23%-63万6,000円=120万4,000円と、所得税は23万円も安くなります。
不動産投資で赤字を出して課税所得900万円未満にすることで所得税を大きく引き下げられます。
不動産投資による節税は、安定的な収入がある人にとって特に魅力的な選択肢です。その理由はいくつかあり、投資の成功率と節税効果の両面で大きなメリットがあります。
不動産投資で節税するためには、優良物件を購入し、中長期で運用する必要があります。安定収入はその助けになるのです。
たとえば、安定収入のある人は、不動産投資を始める第一関門である不動産ローン審査に通りやすくなります。金融機関は返済能力を重視するため、安定した給与所得者は融資を受けやすい立場です。これにより収益性の高い物件への投資機会を広げられます。
また、不測の事態への対応力も高いです。予想外の空室の長期化や突発的に発生した修繕費用など、予期せぬ支出が生じても、本業の収入で補えます。
最後に、安定収入があれば、投資に対する心理的な余裕を持てるのも向いているといわれる理由です。本業収入で生活基盤は整えられているので、短期的な変動に一喜一憂することなく、腰を据えて投資を続けられるでしょう。
このように、安定的な収入がある人は、中長期で不動産投資に取り組めるので節税効果を活用しやすい立場にあります。
資産形成に真剣に取り組む人にとって、不動産投資による節税で投資効率を上げるのは重要です。節税によって手元に残る資金を増やせれば、次の投資資金も大きくなるために資産増加スピードを加速させられるでしょう。
不動産投資は節税だけでなく以下のようなメリットもあります。
・インフレ対策になる
・生命保険代わりになる
・レバレッジ効果を得られる
中長期的に資産を大きく膨らませたいなら、不動産投資は外せません。また、先述の通り、次世代に引き継ぐ際も税金を圧縮できるので、膨らませた後の相続対策にもなります。単なる節税対策のみではなく、さまざまなメリットを受けられるので、資産を増やしたい人に不動産投資はぴったりの資産運用方法といえるでしょう。
不動産投資で効果的な節税をするのは可能ですが、あらかじめ注意しておくべきこともあります。具体的に注意するポイントは以下の通りです。
・リスクもあると知る
・節税目的の赤字でも今後の融資に支障がでる可能性がある
・節税のみを目的としない
・長期的には節税効果が期待できない
・青色申告控除は条件を満たさなければ使えない
・売却時の利益には課税される
・土地代は減価償却できない
それぞれ解説していきます。
投資にリスクはつきもので、不動産投資も例外ではありません。さまざまなリスクがあるなか、特に大きいのが空室リスクです。不動産投資の収入の大部分は毎月の家賃収入であり、空室になってしまうと収入ゼロになってしまいます。
空室のリスクを避けるためには、賃貸需要の高い物件を選ぶのが大切です。
ほかにも、自然災害や建物の老朽化などで予想外の支出があるリスク、ローンの金利が上昇するリスク、資産価値が下落するリスクなどがあります。不動産投資の節税面のメリットだけでなく、どのようなリスクがあるかをあらかじめ把握し、事前に対策を立てておくと、安心して運用できます。
不動産投資の節税は、経費計上により不動産所得を赤字にするのがポイントです。しかし、赤字が続くと銀行からの評価が悪くなるという問題があります。将来、不動産投資の規模を拡大したり大規模修繕の必要が生じたりした場合、追加のローンが必要になることもあるでしょう。その際、赤字経営が影響して審査に通らない可能性もあるのです。
ただし赤字には、キャッシュフローが出ていないケースと、キャッシュフローは出ているが減価償却によって赤字になるケースの2種類があります。キャッシュフローとは、家賃収入から必要経費を差し引いて残るお金を指します。
このうち、銀行が評価の基準とするのは減価償却前の利益です。減価償却によって赤字になる場合は不動産投資としての事業は成功していると考えられ、金融機関の審査には影響しないといえます。そのため、賃貸経営ではできる限りキャッシュフローを増やすことが大切です。
キャッシュフローがないと支出を不動産収入でまかなえず、自己資金を持ち出すことにもなります。安定してキャッシュフローを生み出す経営で手元の現金を増やすのが、不動産投資で安定的に資産拡大するコツです。
不動産投資はあくまで家賃収入を得て利益を出すのが目的であり、節税だけにとらわれて賃貸経営そのものが疎かにならないよう注意が必要です。
不動産投資のメリットは、将来リタイアしたあとも長期的な収入を得られること、ほかの投資方法と比較して急激な値動きが起きにくく、安定しているという点です。あくまで節税は付属的な効果で、減価償却の期間を過ぎれば減価償却費による効果的な節税はできなくなります。また、賃貸経営が順調に進み、家賃アップなどを通じて黒字経営になることで節税効果は薄れていくでしょう。
不動産投資で成功するポイントとしては、収益性を重視した物件選びがあげられます。減価償却費で不動産所得を赤字にできる物件は、収益性が低い物件の可能性もあるでしょう。節税効果のみを重視して収益性が低い物件を選んでしまうと、減価償却期間が終わったあとに収益が上がらず、節税以外で利益を出すのが難しくなります。
始めるときから、節税効果が薄れた後でも、利益を出し続ける収益性の高い物件を選び、上手に賃貸経営をしていかなければなりません。
不動産投資によって節税をしても、その効果は一定期間だけです。
不動産投資では減価償却期間内のみ大きな節税効果が期待できます。減価償却が終わったあとは、投資物件から生じる家賃収入によって所得が大きくなるので、むしろ税額は大きくなる可能性もあるでしょう。中古物件の場合は、減価償却期間が短くなるので注意してください。
節税目的で不動産投資をする方は、減価償却期間終了後に売却して他の物件へ買い換えるなどの出口戦略も含めて検討しておくのがいいでしょう。
事業所得を申告する際には青色申告ができ、最大65万円の控除が適用されます。
しかし、不動産投資が事業と見なされるには次の条件をクリアしていなければなりません。
・5棟以上の貸付用物件を保有している
・10部屋以上のアパートやマンションがある
不動産投資において青色申告控除が利用できるのは、大きな規模で投資している方だけです。節税目的で1〜2部屋程度の不動産を所有していても、控除の対象にはならないので注意しましょう。
売却時に利益が出ると譲渡所得として課税されます。それまでに効果的に節税できていても売却時には税金がかかってしまう場合もある点は要注意です。
税率は「長期譲渡所得(5年以上)」になるか、「短期譲渡所得(5年以下)」になるかによって異なります。期間ごとの税率は以下の通りです。
税率
区分 | 所得税 | 住民税 |
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
5年を境に約2倍の差になるので、大きな利益が出る場合には、この税率も意識して、売却タイミングを探る必要があります。ちなみに、この5年は売却年の1月1日時点で5年経っているかで計算されます。そのため、契約日ベースでは5年経っていても、短期譲渡所得に分類される可能性もある点には注意してください。
なお、この譲渡所得は、以下の式で算出されます。
譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)= 課税譲渡所得金額 |
土地は減価償却できません。
減価償却できるのは建物だけですので、土地価格が高く、建物価格が安い物件を購入しても節税効果は低くなります。
節税を希望するのであれば、逆に土地価格が安く建物価格が高い物件を選択しましょう。
節税をするには、確定申告で手続きをする必要があります。確定申告には白色申告と青色申告があり、青色申告にすれば特別控除を受けて節税効果を高められます。
青色申告で節税する方法や、確定申告の手順についてみていきましょう。
以下の記事では、不動産投資の確定申告で必要となる書類や、具体的な手続きの流れについて解説しています。
>不動産投資での確定申告を分かりやすく解説|必要書類や提出の流れも
不動産投資の節税効果は、確定申告で青色申告を選択するとさらに高まります。要件を満たせば、最大65万円の特別控除を受けられます。
以下の条件をすべて満たしている場合は、青色申告の対象です。まずは条件を満たしているか確認しておきましょう。
・事業規模で不動産所得を得ている ・「所得税の青色申告承認申請書」を提出している ・複式簿記で帳簿を付ける ・期間内に確定申告書を提出する |
不動産投資で青色申告すると、特別控除のほかに最大3年間の赤字を繰り越せる、年間300万円の少額備品を全額損金算入できるなどのメリットもあります。
ただし、青色申告承認申請書は、青色申告をする年の3月15日までに所轄の税務署に提出しなければなりません。その年の1月16日以降に不動産投資を始めた場合は、開始から2ヵ月以内の提出が必要です。期限までに申告書を提出できないと、その年の確定申告は白色申告になります。
また、特別控除を受けるためには複式簿記での帳簿付けが求められます。複式簿記とは金銭の出入りと資産の増減を並行して記載する方法です。確定申告では、複式簿記による記帳に基づいて作成した貸借対照表と損益計算書を確定申告書と一緒に提出します。
確定申告書の提出期限は、翌年の2月16日から3月15日までの1ヵ月間です。提出が遅くなると、控除額が減るなど、大きな損失を被る可能性もあるので、早めに準備しておきましょう。
では、具体的な確定申告の手順についても知っておきましょう。以下の順番で説明していきます。
ステップ①必要書類を準備する
ステップ②確定申告書・決算書を作成する
ステップ③書類を提出する
確定申告に必要な書類は、以下のとおりです。
・確定申告書B、所得税青色申告決算書(不動産所得用) ・不動産収支内訳書 ・各種控除に必要な書類 ・源泉徴収票(給与所得がある場合) |
確定申告書や青色申告決算書は税務署で受け取るか、国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。会計ソフトを利用する場合、作成した帳簿をもとに確定申告書の作成ができて便利です。
また、医療費控除などの控除制度を利用するときは、控除手続きに必要な書類も準備してください。勤務先で年末調整をしている場合も、住宅ローン控除の初年度手続きや、ワンストップ特例制度を利用しないときのふるさと納税の手続きなどは確定申告で行います。いずれも節税につながるため、忘れずに手続きをしましょう。
不動産投資に関する書類は、契約書だけではなく、経費関連もまとめておくとスムーズに申告書や決算書の作成に入れます。
確定申告書と決算書を作成します。いずれも「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。
なお、「確定申告書等作成コーナー」ではデータ保存が可能です。万が一誤りがあっても、修正できるので、早い時期から作成を始め、期間になったらすぐに提出するのがおすすめです。
確定申告書の提出方法には、以下の3つがあります。
・税務署の窓口に持参 ・税務署に郵送 ・e-Taxで提出 |
65万円の特別控除を受けたい場合はe-Taxによる提出が必要で、電子帳簿による保存に代えることもできます。電子帳簿保存とは、会計ソフトを使うなどパソコン上で作成した帳簿をそのままデータ保存しておく方法です。紙の帳簿をスキャナで読み取り、電子データの形で保存する方法もあります。
2021年12月まで電子帳簿による保存には事前の税務署長の承認が必要でしたが、2022年1月以降は不要となりました。
ここまでは不動産投資で節税する魅力や注意点について、解説していきました。この章では、実際に不動産投資を始めるために、どのような手順を踏むべきかを解説していきます。大枠の流れを把握してから、不動産投資会社の面談を行うとより、スムーズに理解して話を進められるでしょう。
ステップ①不動産投資の基礎を勉強する
ステップ②個人相談などを活用して信頼できる不動産投資会社を探す
ステップ③物件を探す
ステップ④契約・引き渡しを行う
ステップ⑤運用を始める
上記の手順を順番に解説していきます。
まず基礎知識を習得しましょう。具体的には、投資の仕組み、リスク、収益構造、税制などです。書籍やオンラインセミナー、投資セミナーなどを活用し、不動産投資の大枠を理解するのが大切です。幅広い情報を収集します。特に、不動産市場の動向や地域特性、物件タイプごとの特徴は重要なポイントです。
どのように勉強すればいいか分からない場合は、J.P.RETURNSが配布している無料書籍や無料動画を活用してみてください。忙しい人でも活用できるよう、通勤中などのスキマ時間で、スマホで見られます。
必要最低限の知識を盛り込んでいるので、ぜひお役立てください。
基礎知識を習得しても、具体的に何から始めるのか分からない人も多いでしょう。次に大事になるのは、不動産投資を始めるためのパートナー選びです。
具体的には、不動産投資会社を見つけられると、成功にぐっと近づきます。選ぶ際には、会社や担当者との相性も大事になるので、個人相談などを活用してみてください。
もちろん、口コミや会社情報の確認も大切ですが、実際に話をしてみないと分からない部分もあるでしょう。今ではオンラインで面談が完結する企業もあるので、無料相談などを活用して、信頼できる不動産投資会社を見つけてみてください。
J.P.RETURNSでは、プロのコンサルタントと無料で相談できるので、どのような投資を始めたらいいかなどを踏まえ、悩みを率直に伝えてみてもいいかもしれません。お客様の投資方針を聞くところから、親身にアドバイスさせていただきます。ご都合に合わせて、ぜひご活用ください。
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適切な物件選びは成功を左右する重要な過程です。まず、自身の投資目的や予算に合わせて、物件の種類(マンション、一戸建て、アパートなど)や地域を絞り込みます。その際、将来的な人口動態や開発計画なども考慮に入れると良いでしょう。
ただし、すべて自分で調べるのは大変なので、前のステップで信頼できる不動産投資会社を見つけられたら、リサーチの大部分は任せてしまうのがいいかもしれません。プロの目で厳選された物件を選ぶ方が成功の確度を高められます。
ただし、信頼できる担当者であっても、必ず詳細の情報まで目を通し、最終的な判断は自分自身で行うことを徹底してください。
物件が決まったら、いよいよ契約と引き渡しの段階です。まず、売買契約書の内容等、分からない点があれば、担当者に確認しましょう。不動産売買の契約だけでなく、ローンの契約もあるので、担当者に紹介してもらうなどして、金融機関探しも抜かりなく行ってください。融資条件は投資成果に大きな影響を与えます。
これらの契約手続きを済ませた後、物件の引き渡しを行います。基本的に段取りは、担当者が行ってくれるので、必要書類等はそれぞれ期限通りに準備するようにしましょう。
物件の引き渡しが完了したら、いよいよ運用開始です。ただし、大半のケースでは管理会社に任せるでしょう。そのため、優良物件を購入できれば、問題が発生したときを除き、特に不動産オーナーの作業はありません。
不明点があれば、その都度担当者に確認しておきましょう。
不動産投資は、サラリーマンにとって効果的な節税と資産形成を同時に達成できる魅力的な選択肢となります。安定した収入がある人や将来的に大きな資産形成を目指す人にとっては、理想的な資産運用方法といえるでしょう。
ただし、投資にはリスクも伴うため、最低限の知識と慎重な判断が必要です。物件選びや経費の活用、確定申告など、専門的な知識が求められる場面も多くあります。そのため、信頼できる不動産投資会社をパートナーにできると、始める前も運用中も、さまざまな場面で有用なアドバイスをもらえるでしょう。
J.P.RETURNSでは、それぞれの人の状況に合わせたアドバイスをプロのコンサルタントが提供しています。今の税金の高さが気になっているなど、経済的な悩みがある場合は、ぜひ無料相談の機会をご活用ください。お忙しくてなかなかオフィスに来訪するのが難しい場合は、オンラインでの面談も可能です。
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J.P.Returns株式会社
執行役員 コンサルティング3部 本部長
J.P.RETURNS執行役員。
J.P.RETURNSに入社後、設立初期より営業部を統括、本部長を務める。以降融資担当部長、流通事業部では仕入れ先開拓業務に従事、後に管理業務部等を歴任。数百戸の投資用区分マンションを販売、自身でも6件の不動産を所有、運用している。現在は自社セミナーを始め、様々な会社との協賛セミナーの講師を務めながら、常に世に発信する立場で不動産業に従事している。
【書籍】
日本で最も利回りの低い不動産を持て!
マンション投資2.0
【ブログ】
室田雄飛のモグモグ不動産投資ブログ
大学在学中に家庭教師のアルバイトをきっかけにデイトレーダーへ転身。24歳で資産運用法人を設立する。25歳から大手投資用マンションディベロッパーと業務提携後、およそ6年間にわたり資産運用アドバイザーとして活躍。その後、大手不動産仕入れ会社で販売統括責任者として従来の投資用物件の流通システムを革新するプロジェクトを立ち上げる。国内最大規模の投資イベント「資産運用EXPO」で登壇実績があり、同業他社からも多くの見学者が立ち見の列を作った。2020年にJ.P.RETURNSに参画。オンラインでの商談やWEBセミナーを導入し、コロナ禍でも年間300件以上の顧客相談を担当している。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)